出版社内容情報
諷刺の枠を突き破り,人間そのものに対する戦慄すべき呪咀へ-子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたに違いない.だが,おとなの目で原作を読むとき,そこにはおのずと別の世界が現出する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
出発-冒険-帰還構造を持つ物語は外部世界の情報を声で伝える古代社会のインフォメーション・フレームとして継承されてきた。一方、風刺は寓話的構造によって読者の属する社会をデフォルメして見せる。両者を融合した本書は4度の冒険で自国の姿を二重写しする。が、リリパッド/第2次百年戦争、ブロブディンナグ/大英帝国、ラピュータ等の島々/王立協会・イングランドに搾取されるアイルランド・歴史の退化、フウイヌム/管理社会が二重伝達される中、AIの原型ザ・エンジンや不死人が現れると、不意に我々の未来が示されたように感じられる。2019/11/09
うさえ
1
最終章でのヤフーに対する全否定の態度は、いくら諷刺小説とはいえ常軌を逸しており、読者をして、素直に自らを省みるよりも寧ろ反感を抱かせたのではないかと危惧する。いずれにしても、ガリヴァー氏の端倪すべからざる言語習得力があって初めて成立する物語2010/02/01
たなかけんいち
0
ガリヴァーになりきろうとして読んだ。スウィフトがどのように死んだかを知ってから読んだ。しかし結局スウィフトがどういう心情でこの小説を書いたのかは分からなかった。衝動的に読みたくなる本。2012/02/25