出版社内容情報
『ガリヴァー旅行記』はどのようにして生まれたのか? 作者スウィフトの生涯,当時のアイルランドの政治・宗教などを踏まえ,国家論,文化史,フェミニズムの視点から,ガリヴァーの4つの旅の意味を大胆に明らかにする.
内容説明
衛生観念、エロティシズム、優生思想、女性嫌愛、そしてイギリス帝国主義批判…。宗教戦争とイングランドの支配に揺れ動いた18世紀アイルランドのなかに浮かび上がる、等身大のスウィフト像。当時の図版も多数収録。
目次
1 なんとも、品の無い話で…
2 小さくすれば
3 大きくすれば
4 ヤフーよ永遠に
5 アイルランドより怒りをこめて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
18
前提知識なしで読んでも面白いと思われている(が実際はそうではない)『ガリヴァー旅行記』を当時=18世紀イギリスの時代背景と照らし合わせて読解していく本。 作品中の下ネタ(主にスカトロジー)がスウィフト自身の資質ではなく、18世紀イギリスという時代の「猥雑さ」に還元されることを、多数の資料を提示して証明していく一章目からして真っ当極まりない姿勢。 それでも『ガリヴァー旅行記』には時代に還元しきれない面白さがあって、それはひとえに作者の「性格の悪さ」だよなあと思ったり。2019/03/16
紅林 健志
0
高山宏訳の『ガリヴァー旅行記』を読むと、どうしても詳細な解説がほしくなったので、こちらを。 現在の研究の通説や文化的な背景が説明されている。それぞれの国のモデルはよくわかった。図版も豊富。 ただ、興味をもつポイントは自分とはちょっと違うかも。王立協会の話なんかもほとんど出てこない。2021/07/18