美術館・博物館の事件簿

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美術館・博物館の事件簿

  • ISBN:9784766429992

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内容説明

日本の3つの「ダリ展」、大英博物館の収蔵品、琉球王家の遺骨、表現の不自由展、重要文化財准胝観音立像・・・。
アートの世界の内幕と真実とは?
16の法廷ドラマと15のコラムから美術館・博物館の舞台裏を明らかにする。

日本では、美術館と博物館は別物とされているが、英語ではどちらも「ミュージアム」で、実は両者の間に違いはない。強いて区別すれば、美術品を多く収蔵・展示しているのが美術館、それ以外の歴史資料、自然資料等を収蔵・展示する施設が博物館ということになるが、東京、京都、奈良の国立博物館は美術品・工芸品を中心に扱っているし、古文書や化石などを集めている美術館もある。
本書は、日本と世界の美術館・博物館がその活動や収蔵品、借入品等に関連して巻き込まれた様々な裁判や事件を紹介している。外見は取り澄ましてみえるこれらの施設の舞台裏では何が起きているのか? どんな問題を抱えどう対処しているのだろうか?

【登場する主なミュージアム】
サルバドール・ダリ劇場美術館、シカゴ美術館、スミソニアン国立自然史博物館、ソロモン・グッゲンハイム美術館、大英博物館、デトロイト美術館、ニューヨーク近代美術館、バークシャー美術館、ハンタリアン美術館、ピナコテーク・デア・モデルネ、ペギー・グッゲンハイム美術館、ポンピドゥーセンター国立近代美術館、マンチェスター博物館、ミュージアム・オブ・アーバン・アンド・コンテンポラリー・アート(MUCA)、レオポルド美術館、ロンドン自然史博物館、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、熱海山口美術館、岩手県立美術館、京都大学総合博物館、高知県立美術館、国立アイヌ民族博物館、大丸ミュージアム、チームラボプラネッツ、富山県立近代美術館、名古屋市美術館、奈良国立博物館、横須賀美術館

目次

はしがきにかえて
1 美術館・博物館の舞台裏
2 美術館・博物館が直面する倫理的要請とのジレンマ
3 美術館・博物館の現代的課題
4 文化財の購入、変更、処分の規制

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

110
著者は弁護士。美術品を巡る古今東西の裁判事例16件が具体的に紹介され、その顛末を考察するとても興味深い一冊。貸与中作品の損傷だけでなく、作品を展示する権限における所有者(博物館)・著作権者・寄贈者の関係、ディアクセッションの権限、作品の返還請求(ナチス略奪品)など、こんなに色んな係争があるのかと驚かされる。当事者間の和解による解決が多いように思えるのは、法律的な解釈には限界があるということかもしれない。確かに、大英博物館など、正に盗品・略奪品の宝庫であり、現代の法治規範を逸脱している存在と言えるのだから。2025/02/01

じじちょん

6
主に絵画の話だけど、美術品の所蔵や責任について美術館と遺族との間で起きた裁判について取り扱っている。海外の裁判が多いのだけど、日本でも展覧会用に借りる場合もあるので他人事ではない。時代の世界情勢によっても裁判の方向性って変わってしまうんだな。美術館の持つ役割や倫理観も基準の一つになるんだな。思いがけない事例もあり興味深い内容だった。2025/06/16

多喜夢

6
今、DIC川村記念美術館の閉館が話題となっているが、世界中の美術館・博物館の裏側を裁判事例をもとに紹介した本。興味深く読了。新宿のSOMPO美術館のゴッホの「ひまわり」も、つい最近、引き渡し請求の裁判を抱えていたとのこと。驚きました。2025/03/16

ganesha

6
国際商取引やアート法が専門の弁護士による、美術館博物館が関わった裁判や事件についての一冊。多くの美術家を支援したペギー・グッゲンハイムやメンデルスゾーン=バルトルディのコレクション、富山県近美と瀧口修造、寺社の宝物と博物館など興味深く読了。2025/01/21

てくてく

5
著者の別の本『アート・ロー入門』と比べると、「事件簿」ということで、過去のアートやミュージアムに関する事件・争点・判決+その作品やアーティストに関する挿話がコンパクトにまとめられていて、とても楽しかった。最後のコラムが「平城宮跡」で、そちらの話も面白かった。2025/05/23

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