内容説明
達意のデザイナーは、達意の観察者だった。
ブルーノ・ムナーリ、アキッレ・カスティリオーニ、エンツォ・マーリ──
デザイン黎明期の戦後イタリアで建築家やデザイナーとして生きた彼らは、自らを「プロジェッティスタ」と称した。
人びとの暮らしに寄り添い、人間的なクリエイションに心血を注いだ探究者たちの理念と行動、そしてその継承可能性に迫る。
「私たちは生きる喜びをどこに忘れてきてしまったのだろう。
観察し、考え、自らの手でつくってみること──
そこから生まれる“控えめな創造力”こそが、今、私たちの世界に必要なのかもしれない。」
──大西麻貴(建築家)
目次
第1章 物の時代の終わり──世界から手を引いた人間の肖像
第2章 創造力の現在──危機的状況と可能性
第3章 「物」という歴史を繙く──物を言語として読みとる作り手たち
第4章 やることで理解する──包括的な知性/創造力の回復を目指して
第5章 根源への下降──技術至上主義からの脱却
第6章 20世紀のブリコラージュ──未開社会起源の控えめな創造力
第7章 透明さへの衝動──控えめな創造力の中に蠢く合理主義の思想
第8章 「誘導の科学」というパンドラの箱──コミュニケーションの技術化の果てに
第9章 日本にもたらされたプロジェッタツィオーネ──城谷耕生の仕事
第10章 拡大された創造力論へ──自然を創造力の主体として受け入れる