内容説明
『宝島』のR・L・スティーヴンソンがのこした、子どもたちへの愛あふれる名作が、みずみずしい新訳でよみがえる。
池澤父娘がおくる共訳詩集第二弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
96
池澤春菜・夏樹親子が訳した詩集。「無垢の歌」ウィリアム・ブレイクに続き第2弾。手に取りやすい装幀と大きさ。この詩集を読むと、小さい頃田舎で遊んだ日々のことを久々に思い出しました。小説「宝島」を出版した2年後のもの。夜ママが部屋の灯りを消してから広がる空想の世界や、小さな水たまりを海と呼び、小さな丘を山と呼び、遊んでいた頃のことをこんな風に詩にできるなんて、子供のピュアな心を持ち続けていたんでしょうね。春菜H・夏樹N親子の、楽し気なコメント入りで素敵な詩集です。挿絵は1916年シカゴ版のレトロなイラスト。2022/01/24
ケロリーヌ@ベルばら同盟
80
幼い頃、空は澄み渡って高く、夜はとても静かに深かった。秘密の国の王さまが、その小さな指先で触れる物は、全て虹色の魔法で輝いた。揺籃は船に、風が揺らす草木は大海原に。想像の翼は沈まぬ太陽。偉大なる冒険を月光と満天の星が照らす。さあ行こう。何処までも行こう。地球の裏側へ、遊びの谷へ、妖精の国へ。海賊と戦い、見たこともない島を発見しよう。夢の王国の版図をどんどん拡げよう。心配しないで、お茶の時間には、きっと帰って来るから。明日は、小さな薔薇の茂みにキラキラ輝く朝露で蘇る庭におはようを言うから。こどもの日に読了。2022/05/05
(C17H26O4)
75
うふふ。池澤父娘の訳がやわらかで甘くて、くすぐったい。小さな子どもころの宝物の入った懐かしい箱を見つけて、開けてみたとしたらこんな感じかな。中に入っているのは他愛のないもの。でもそれらはきっときらきらと輝いて見える。子どもの頃の想像や空想は冒険。スティーブンソンの詩が大人の心を子どもの自由な心の冒険の世界へ連れて行ってくれた。挿絵と共にいくつか原文が添えられていた。韻を踏んだ優しいリズムのある文を読んで、英語で読んでみたいなと思った。2022/05/17
けんとまん1007
52
子どもの素晴らしいことはいくつもある。その一つが、空想うすること。そんな空想の世界を、詩という形式に編み込んだ1冊。遠い微かな記憶だろうか・・・。そうそう、そうだよねと思える詩が、いくつもある。そんな世界に浸ることも、とても大切な時間だと思う。2023/06/23
ちえ
39
宝物みたいな本。絵も懐かしさを感じる。子供の頃のこと(弟と上下の二段ベッド、狭い裏庭で灌木の裏に入ったり塀の際を掘り返したこと、夜になると別のものに見える天井、置物の中にこっそり入れた手紙…)ありありと思い出して、心が温かくなったり、ちょっと痛くなったり。この本は手元に置こう。2023/06/10