光文社新書<br> 空気の検閲~大日本帝国の表現規制~

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光文社新書
空気の検閲~大日本帝国の表現規制~

  • 著者名:辻田真佐憲
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 光文社(2018/03発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334043445

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内容説明

絶対悪の代名詞「検閲」。しかしその実態は? ブラック労働的な現場、検閲官とマスコミの驚くべき一体ぶり、官僚的セクショナリズムによる検閲の暴走、法外の手段を用いた非正規の検閲と、忖度による自主規制、世間との共振……。1928年~1945年のエロ・グロ・ナンセンスから日中戦争・太平洋戦争時代まで、大日本帝国期の資料を丹念に追いながら、一言では言い尽くすことのできない、摩訶不思議な検閲の世界に迫っていく。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まりお

46
戦前の検閲について。戦争が始まった後は権限を持たない軍による介入により一層締めつけが酷い。検閲と聞くとこの時代についてしか想像したことがなかったが、それ以前のエログロの取締の内容を見て考えが変わった。エログロに詳しくなるなら目を肥える必要があった、検閲官がエログロマニアになるのが面白い。あと出版社側との巧妙な伏字駆引きも面白い。2018/10/21

ころこ

41
戦前にあった検閲をコミカルに紹介しています。地道な検閲官の努力にもかかわらず、その適用は文脈依存的で状況依存的なため、客観的な基準による取り締まりをすればするほど表現の真意はその基準から逃れていく。結局は検閲官の主観に頼り、マンパワーの不足から出版社や新聞社に対して忖度させることによって実質的に表現を規制していたことが資料と共に論証されます。親日的といわれる台湾で起こった蜂起である「霧社事件」に驚きます。第3章の植民地における検閲は、本書の趣旨とは直接的な関係は無いものの、戦後にいわれる単一民族日本と戦前2021/12/19

おかむら

37
戦前の検閲の実態について考察。どの部分を猥褻と捉えるかで検閲官の趣味嗜好が出ちゃうとかの面白部分と、治安維持方面の検閲の恐ろしさ。そして出版社側の自主規制という忖度。忖度は日本の伝統か。日本国内だけでなく植民地だった朝鮮や台湾の検閲も調べてるのが興味深い。植民地、された方は忘れないけどした方は忘れがちだよなー。あ、それイジメと一緒か。2018/04/29

たこやき

22
戦前の検閲の様子などを綴った書。当初はエログロから、政治的主張まで……の変遷を綴るのだが、その事例がなかなか面白い。直接書くと発禁になるから、伏字に。何十文字も伏字が続いて意味不明なものも検閲官は見破って……って逆に何か面白いものも。しかし、そういう中で、発禁になることで赤字になるため、出版社などは空気を読んで扱わないようにする、というのは検閲の本当の怖さを感じる。そして、これって、現在の有害図書指定とか、そういうものにも通じる性質を持っている、というのを感じずにはいられない。2018/05/30

猫丸

21
エログロ時代から終戦までの検閲事例史。安寧秩序紊乱と風俗壊乱の防止を二つの旗印として、少数精鋭の検閲官がことにあたった。その業務は一貫した職業倫理に貫かれる傾向があり、暴走を招いたのはむしろ外部要因、とくに教育水準の低い陸軍や庶民の圧力にあった。さらに大手マスコミは時局に従って変化する検閲ラインを熟知する立場にあり、発禁を事前に避ける忖度技術を向上させる。ここに最末端の無批判なる衆愚と出版インテリが同期する仕掛けが、巧まずしてできあがる。近年、風俗関連の空気の検閲は完成に近づいている。次は思想統制である。2018/10/24

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