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電子書籍フォトエッセイⅢ 足利仙台君津函館 Прогулка в авто - из к/ф ≪Раба любви≫

試し読みで冒頭８ページを読んだとき、序…

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試し読みで冒頭８ページを読んだとき、序文と足利の藤の写真の美しさが印象的だった。
本文では、足利以外にも、仙台、君津、函館と四都市が出てくる。写真は、自然風景であったり、街並みだったり、食べ物であったり、大衆食堂であったり、列車だったり。そういった日常にあるものから政治、社会、経済、環境問題へと思いを馳せる文章が添えられている。ただ写真だけが並んでいたら、単純に美しい、おいしそう、懐かしい、なんて感想だけで通り過ぎてしまいそうな日常（でも私にとってはいずれの都市もよく知らない都市なのでちょっとした非日常感でもある）が、添えられている文章がフックになって、自分も考えるきっかけとなるようなフォトエッセイ。
足利の夜の藤は、ライトアップもあいまって幻想的でとても美しい。淡い色の藤が続いたあとに、可憐なポピーのショットが。淡色の藤と対照的にビビッドなオレンジ、黄色、緑色の写真にハッとさせられる。そして「最後に突然脇役が主役になる」という国木田独歩の『忘れえぬ人々』についての言及。合間には、レジ袋から自然環境への話も。
仙台の街並み、駅の光景と歴代の鉄道車両の話。「時感異常」という言葉を初めて聞いた。「水泳で息継ぎを失敗したかのよう」という文に、ああなるほどと思う。日常の中で、突然時間が止まったような気分になることがある、あの感じ。（という解釈であっているのかは分からないけど）毎日の生活の中で感じるふとした違和感みたいなもの。
君津の海、モニュメント、山、カレー。写真からのんびりした時間の流れが伝わってくる。そして、なんだかよく分からない組み合わせ、と思っていると、戦争、そしてロシア革命の話。今はのんびりと平和を享受してはいても、いつまでも続くかは分からないということ？
そして函館。宮沢賢治が命が尽きようとしている妹に手向けた詩が引用される。賢治は茶碗に雪を掬う。「あんなおそろしいみだれたそらからこのうつくしい雪がきたのだ」いびつで醜く見える世界からも美しいものは生まれ来る、と私は解釈しているが、筆者はCheapJapanやIT化の弊害に言及する。
日常をぼんやり過ごすだけでは見えないものが見える一冊。

タグフォトエッセイ　旅　ナナコ？　日常からの気づき

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紀伊國屋書店

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