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洋書ハンス・ロスリング『FACTFULNESS：10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』（原書） Factfulness : Ten Reasons We're Wrong about the World - and Why Things Are Better than You Thi -- Paperback (English Language Edition)

翻訳では英文字の隠に小さく「ファクトフ…

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翻訳では英文字の隠に小さく「ファクトフルネス」とカタカナが見える。「事実がいっぱいの状態」と理解せざるを得ないこの表現に「違和感」を覚えたのだ。単語として辞書にあっても、きれいな花々が咲き誇る庭園を見てbeautifulnessとは言わないだろう。わざわざ名詞化する必要はない。インターネットで調べたところ、著者の息子（共著者の一人）の造語だと分かった。「推測ではなく証拠に基づき意見を述べることを由とする」という趣旨になる。
　原書は2018年に刊行され、ビル・ゲイツが推薦したこともあってか、米国でベストセラーになり、米国でよく売れると日本でも翻訳出版されるという流れである。表紙に大きく印字されたこの人造語に「？」と感じた人は、内容を確認するために手にとると思う。記号と呼んでもいいこの特異な書名が功を奏したようだが、「看板に偽り無し」である。日本でも「ファクトフルネス」と言い出す政治家がでてきそうだ。　　著者はスウェーデン生まれの医師。アフリカ等での医療活動の経験から、世界で起こっている「事実」が、多くの人々の先入観や感情で、誤って理解されている状況を、客観的な数値やグラフを引用し、10の視点から的確に述べていく。各地に点在する事実が世界を満たしていないという現状に気づいた著者が、息子夫婦と協力して意識改善の指南書を執筆したということだ。つまり、書名は「世界が目指すべき理想的な状態」を示している。書かれた意図と呈示された証拠が分かれば、当初の「不安」は「安堵」に変容する。「世界は人々が思っている以上にいい状態に向かっている。」というのが本書の結論だ。
　しかしながら、「未来は不確か」との記述や「世界的な感染症の蔓延」を世界が危惧すべき５つの事象の筆頭に挙げているのは、あたかも2020年を予見しているようだ。
　残念なことに、著者は本書の出版直前に病気で他界した。本書が「遺書」となってしまった。残された息子夫婦が父親の思いを受け継ぎ、今の災厄が終息した後に、集積されたデータをもとに、次の世界に向けたさらなる助言をまとめることを願っている。

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洋書 ハンス・ロスリング『FACTFULNESS：10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』（原書） Factfulness : Ten Reasons We're Wrong about the World - and Why Things Are Better than You Thi -- Paperback (English Language Edition)

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洋書ハンス・ロスリング『FACTFULNESS：10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』（原書） Factfulness : Ten Reasons We're Wrong about the World - and Why Things Are Better than You Thi -- Paperback (English Language Edition)