読書という航海の本棚＞無意識、光学、写真、刹那 - 紀伊國屋書店ウェブストア｜オンライン書店

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洋書 Photography and the Optical Unconscious

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昨年から、写真史への興味を持つようになってきたので、２冊を読ん後、紀伊國屋ウェブストアで英書の関連書籍を探していて見つけた一冊。発注した昨年の12月には、記載内容をあまり深く吟味せずに、表題の「光学的無意識」に惹かれ、衝動買いのような状態だった。
　それから約７週間後、読み始めて歓喜したのは、写真家としてのヴァルター・ベンヤミンの視覚文化的な考察に焦点が当てられていることが分かったことだ。情けない話だが、この注文後の期間に、岩波文庫版の『パサージュ論』（コメント参照）５冊を店頭で買い、読み始めていたのに、このドイツ生まれの偉大な思想家が、カメラを使いこなしていたことに気がつかなかったのだ。
　本書には15編の論述が収録されている。第1章には「パリの商店街（アーケード）で売られている時代遅れの19世紀の生産物」の今日的意味に触れる場面もあり、間接的に、この本の読書が、『パサージュ論』を補完しそうな予感にときめいている。
　さらに、並列するような重みでフロイトの『夢判断』の考察も含まれていて、レンズをとおしての視線を軸に、日常生活の眼差し、写生の視点、そして潜在意識下の心象も包含する内容で構成されているのが刺激的だ。
　この構成は、背表紙のアルファベットの位置にも反映されている。「天」を上に書棚に配架すると、背表紙の英単語の向きが通常の英書のそれとは逆になるのである。この向きは独語の本では正常なのだが（名探偵コナンもある事件で指摘していた）、私には、鏡像のイメージを打ち出すための意図的な装丁に思えるのだ。第６章ではフロイト心理学を考察するMirrors　of　Memoryという本が紹介されている。
　写真は動画と異なり本来静かなメディアのはずだが、この本の購入から読書にいたる経緯で、私の心はざわつき始めた。この分野で読みたい本が一気にふえたばかりか、頁をめくる際に目に入る古めかしい白黒写真の中の人物たちが、動きそして語りかけてくるような気がしはじめたのだ。
　当時は撮影と現像に時間を要したのだろうが、切り取られた時間が刹那であるが故に「永遠」が取り込まれていると感じている。

タグ無意識、光学、写真、刹那

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