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和書創造性の宇宙 - 創世記から情報空間へ

副題でuniverse　of　inte…

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副題でuniverse　of　interactionと併記してある。interactionはインタラクションと表記され、「複数の要素が相互に作用しあう」という意味だ。大きな調和と小さな差異で成り立っている宇宙の様相そのものである。
　本書は、天球図のような「輪」の中で、複数の異なった「もの作り」への視点を紹介している。全体を覆う考えは「デザイン」である。この単語は、文字や絵画とは異なり、物語を提示しないが故に、見る者の心象の奥深いところに届き、自由奔放な想像力をかき立てる。イスラム寺院の閉鎖的な幾何学模様から宇宙アートという壮大な試みまで、「デザイン」の時空間を俯瞰できる。この「相互作用」という機能を、表題で「創造的」と表現したのだろう。
　そこで、創造現場で作業をする自分自身の視線に入る「両手」に注目することになる。（p124）人間は常に指の動きを意識しているし、指先の感覚は瞬時に脳に転送されている。この現象が、実はデジタルなのだ。digitalには「指の、指で動かす」という意味があり、指で数えていた記憶がdigit（数字・指）にはある。つまり、最先端の印象を与える「デジタル」の基本動作は、洞窟壁画を残した古代人のそれと同じなのだ。
　この言語学的な事実をおさらいすると、「情報デザインの新地平」（帯）を見るための立ち位置がはっきりする。ここで思い浮かぶのがルネサンスの建築家ブルネレスキがあみ出した透視法（p137）だ。その流れで、錦絵画家の鈴木春信への言及（ｐ252）を見た時には、小躍りした。なぜならば、この絵師はzograscope（江戸時代の覗き眼鏡）を描いていたのだから。（『遠近法の誕生ルネサンスの芸術家』辻茂、朝日新聞社）
　この装置が、コンピュータになったと勝手に信じている。PC画面の奥には無限の情報空間が広がり、交錯している。そこに、視覚の延長器官であるカメラ、望遠鏡、顕微鏡等でとらえた映像や動画が挿入され、あらたなデザインが表出してくる。よく考えれば、古代より見上げてきた宇宙空間と、今、凝視するサイバー空間という二つの「時空」の両極点に思いを馳せることができるようになったことで、我々の意識は、あらたな進化の局面への入り口に立っているのかもしれない。
　読後に、冒頭で引用された「月は最古のTVである」を「月は絵文字である」といじってみた。

タグデザイン、デジタル、創造

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