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和書ガロア - 天才数学者の生涯角川ソフィア文庫

ガロアという数学者の名前は、複数の科学…

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ガロアという数学者の名前は、複数の科学啓蒙書者で目にしていたが、第一印象を決定づけたのは、「瀬戸際の数学的自由」という松岡正剛の８頁の解説を2003年９月に読んだ時だった。（『遊学Ⅰ』中公文庫）数学に疎い私には、ガロアは、業績の代わりに、「投獄」、「疎外」、「決闘」そして「早死」というイメージがまとわりついて、記憶された。
　本書を店内で見た時には、「天才数学者の生涯」という表題が目に飛び込んだ。表紙の優しい顔立ちが、過去の否定的な印象を払拭した。彼の生きざまを読めば、数学へ近づくための考え方が分かりそうな気がしたのだ。
　引用される数学理論等には、正直、理解が及ばなかったものの、当時のパリの高等教育機関の選考基準が、私の印象では、劣悪な市街の環境と同じようなに酷い状況だったことが分かったのは収穫だった。ガロアの探求姿勢は、「狂気」として表現されているが、数学に魅入られたと解釈したい。この「奔放」な生き方は羨ましい。彼には99％の閃きがあったのだろう。
　気がつくと、著者の語りにのせられて、不謹慎な比喩を承知で書くと、「ピカレスク小説」を読んでいるような気になった。高等数学に取りつかれた純粋な若者の、「秘密結社」が暗躍する動乱の社会を背景にした波乱万丈の短い生涯。肝心の「決闘」は謎が多いとの記述が故に、勝手にその場面を想像した。
　巻末の参考文献にくると、改めて本書の意義が理解できる。ガロアの遺産は、難解で到底理解できそうもない。しかし、関連書籍を読むことで、彼の20年をとおして、19世紀初期のフランス、そして激動の中心だったパリがよく分かるようになると思う。

タグガロア、高等数学、パリ

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