BookWeb Plus Kinoppy

紀伊國屋書店の電子書籍「Kinoppy(キノッピー)」 オープニングイベントに行ってきました。

皆さん、電子書籍してますか?

Vision1758.jpg「KindleもiPadも持ってる!」という猛者の方から、「本はべつに紙でいいかも。あ、『もしドラ』はiPhoneで読んだけど、あれも電子書籍?」という方、「全く興味ないね!」という方まで、その考えはさまざまだと思います。しかし2010年が「電子書籍元年」と言われた割に、「電子書籍」の話題にのぼるのは端末の話ばかり。いまひとつ私たちの生活の中に入ってこない気がしていた方も多いのではないでしょうか。もしかしたらその理由の一つには、今まで本と出会える場所だったはずの書店が、電子書籍との出会いの場にはなれずにいた、ということがあるのかもしれません。

そのような中で、紀伊國屋書店は2011年5月20日にアンドロイド端末向け電子書籍アプリ「紀伊國屋書店Kinoppy(キノッピー/以下Kinoppy)」をリリースいたしました。本日はこの「Kinoppy」の特徴を、新宿本店で行われたオープニングイベントの様子を交えて、ご紹介します。

「Kinoppy」は、本屋のつくる電子書籍

demo1773.jpg突然ですが、この記事を書いている私も紀伊國屋書店の社員です。このため「大人の事情」などと言うまでもなく、「Kinoppy」担当者から「記事ではここんとこ、押さえてね!」とつよく念を押されました。

いわく、「Kinoppy」のコンセプトを一言で言うと
<本屋さんがつくった電子書籍>
とのこと。

具体的には、

・プリント版もデジタル版も購入できる。
・書店が目利きした、よりすぐりのタイトル。
・紀伊國屋書店の店頭が電子書籍との出会いの場に。

という3点です。

しかし、わざわざ記事を書くのにセールストークを鵜呑みにするのもつまらない...。ということで、担当者にじっくりと話を聞いてみました。

Q1.「プリント版もデジタル版も購入できる」と何がいいんでしょうか?

Kinoppy_store1582.jpg「Kinoppy」が搭載する紙の書籍情報は1,000万件。日本の書籍だけでも280万冊の情報があります。今まで電子書籍の購入サイトで不便だったのは、「そのタイトルが電子書籍になっていること」を知らないと見つけだすことができなかったり、そもそも存在に気がつかなかったり、ひいては購入する機会を失いがちだったことです。

しかし、プリント版とデジタル版、両方の書籍情報を持つ「Kinoppy」なら、まず欲しい本を見つけて、どの媒体で読むかは、その後で決めれば良いというわけです。

多くの人は、「紙の本だから読みたい!」とか「電子書籍だから読みたい!」というよりも、「そのタイトルだから読みたい!」と考えるはずで、それを思うと、「プリント版もデジタル版も」という「Kinoppy」のあり方は、これからの本の買い方として、なるほど納得、な気がしてきます。

ちなみに「Kinoppy」には紙の本の絶版情報も掲載しています。プリント版が手に入らないから、デジタル版を購入!なんてこともできてしまうのは、本好きの方に喜ばれそうです。

Q2.「書店が目利きした、よりすぐりのタイトル」って本当ですか?

Kinoppy_library1574.jpg「Kinoppy」のオープン時の搭載タイトルは5,000冊。年内に20,000タイトルを目指すとしています。

5,000タイトルという数、これは先行する電子書籍サービスと比べても、たいして多いわけではありません。なので「よりすぐりの」とか言っても苦しい言い訳ではないか...。と勘ぐっていたのが正直なところです。

しかし、デモ機のライブラリーに並んだタイトルを眺めると、初の電子化となる2010年本屋大賞受賞作 冲方丁『天地明察』、ドフトエフスキー『カラマーゾフの兄弟』をはじめ、なるほど...と頷かざるを得ない、メジャーなタイトルを揃えてきているではありませんか。

とはいえ、これから年内に4倍のタイトルに増やすということであれば、「よりすぐりの」という言葉の真価が問われるのはまだこれからです。みなさん期待して待っていてください。

Q3.「紀伊國屋書店の店頭が電子書籍との出会いの場に」とは?

tana1691.jpg本日、オープニングイベントの会場でも早速目にしましたが、今後、紀伊國屋書店の店頭では、プリント版の書籍の陳列にはPOPでデジタル版があることも表示してゆきます。

つまり、これからは紀伊國屋書店の店頭で紙の本を手に取りつつ、デジタル版があればデジタルで購入、ということもできるわけです。

書店には、本との偶然の出会いが満ちています。その同じ場所で、自然に電子書籍と出会えるようになります。

電子書籍端末の性能やアプリの機能は、これからも次々に進化したものがでてくるでしょう。でも個人的には、この「電子書籍との偶然の出会い」が、紀伊國屋書店の電子書籍サービスの持つ一番の魅力ではないか、と思っています。


本日のアンドロイド端末向け「Kinoppy」オープニングイベント、その最中に重要な発表がありました。紀伊國屋書店ではアンドロイド端末だけでなく、6月1日からはiPhone・iPad向けのサービスも開始いたします。iPhoneユーザーの私には朗報です。さっそく何冊か「Kinoppy」で読んでみようと思っています。

紀伊國屋書店 iPhone・iPad向け電子書籍サービス開始 [プレスリリース]
紀伊國屋書店 アンドロイド™スマートフォン、タブレット向け電子書籍サービス開始[プレスリリース]

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新宿本店の店頭では5月29日まで、実際に触れるデモ機を置いて「Kinoppy」の展示を行っています。その後は、梅田本店でも6月3日から6月12日まで「Kinoppy」展示を予定しています。「Kinoppy」は無料アプリなので、アンドロイド端末をお持ちの方は展示会場に来ていただかなくてもダウンロードできますが、デモを行っている店舗にご来店の際には、ぜひ会場をのぞいてみてください。

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5月20日のBookWebPlus 「Kinoppy」オープニングセレモニーの様子は、こちらで公開しています。

(編集部 須賀喬巳)

2011.05.20 受賞作品 東京 カラマーゾフの兄弟 天地明察