■羨ましいと私は思った。夜を徹して歩き通す歩行祭。たった一夜の出来事が、特別なものに変わるそのことを彼らは感じる事ができたから。「あの頃」をあっさり卒業してしまった私は損をした気分になる、ほんとうに切なくまぶしい物語なのです。 【酒井和美・本町店】
■ただ歩くだけでは奇跡は起こらなかった。一緒に歩いたひと、これまで一緒に歩んできた人達がいたからこそ、貴子と融にとって奇跡の一夜となった。読後、共に歩んだ親友に会いたくなった。 【高橋雅之・グランドビル店】
■80kmという長い距離を夜通しひたすら歩き続ける苛酷な学校行事「歩行祭」。登場人物たちはその行事の中で、それぞれ思いや悩みをかかえて歩いていきます。部外者がまぎれこんだり、誕生日をむかえたり、秘密の賭けを実行したり。ただ歩くだけの行事の中に、様々な驚きや発見や変化や友人と時間をわかちあう喜びがあり、すべてを歩き終えた後には清々しい達成感を感じることができます。自分の学生時代を思い返さずにはいられない素敵な青春小説です。 【倉成陽子・新宿南店】
■この本には「青春」がぎっしりと詰まっている。俵万智の有名すぎるデヴュー歌集のなかに「青春という字を書いて横線の多いことのみなぜか気になる」という歌があるのだけれど、そういう青春の混沌というかぐちゃぐちゃさ加減を、美しく、ほほえましく描ききった秀作。共学、とくに公立の進学校に通った人たちにはぜったいツボだと思います。 【星 真一・梅田本店】
■「チルドレン」には、文章・会話の楽しさ、特異な登場人物、泣けない感動など、伊坂幸太郎の面白さがこれでもか!というくらい散りばめられています。特に家裁調査官である陣内の言動は、一見無責任だけれど考えた上での発言だとわかります。たまに呆れたりもするけれど憎めない愛しい人物です。あなたもそんな陣内と出会ってみませんか? 【岸田安見・本町店】
■「結果論からすると、陣内のやっていることの大半がオッケーになってしまうから驚きだ」と評される主人公が引き起こし、巻き込まれる騒動を描いた5つの物語。信じた少年少女に裏切られる日々を闘いながらも「俺たちは奇跡を起こすんだ」と言う主人公の言葉に力付けられ、一方で「奇跡というのは滅多に起きないから」と自分を慰める同僚の家裁調査官の物語など、読み終えれば不思議な温かさを覚えるはずです。「歴史に残るような特別さ」はないかもしれないけれど、「特別な時間」を与えてくれる本です。最後に、「彼のやり方を真似しては駄目だよ」。 【原田 誠・熊本店】
■子供は嘘をつきます。大人は嘘をつきます。この作品にはたくさんの嘘がつまっています。人を優しい気持ちにしてくれる嘘が・・・。 【花田吉隆・福岡本店】
■最高級のミステリー。読み出したら絶対に止まらない!!その言葉がピッタリあてはまる本当にスゴイ作品です。1つ解けたかと思うと次から次へと繰り出される謎の数々。ヒタヒタと後を追いかけてくる怪しい追跡者達。ココマデなら今までのミステリー小説にもありますが、ただのミステリーでは味わえない美術史、西洋史の豊富な知識もタップリ堪能できます。まちがいなくアナタも徹夜覚悟で読むコトになりますよ。 【清水千佳子・西神店】
■まさに、すごいの一言!次から次へと出てくる謎に、まるで自分も一緒に解いているような感覚。本の中に出てくる秘密結社や絵をインターネットで夢中になって調べながら読み進める日々・・(ちなみに解けたものは1つもない)。しかも謎を解くスリリングさだけではなく、主人公達の間で芽生える、ちょっとした恋心や、友情、家族愛もあり、読み終えた後の爽快感と、ほのぼのとした心地良さは、もはや、ミステリーという分野の枠を超えています。つい本物の“モナ・リザ”や“最後の晩餐”の絵を見てみたくなりました。 【幡田麻由・梅田本店】
■色白のアザラシみたいな容貌の神経科医と白衣で患者の前で堂々とタバコを吹かすクールな看護婦コンビが悩みをかかえる患者たちを治療していくのだが、「こんなので本当に治るのか?」「本当に医者か?」と読む側も疑念を持ちつつ、患者が病気を克服すると同時にこちらもわからないけれど、不思議と爽快な気分になっているんです。この作品は笑いをちりばめながら「そっか、悩みの解決は案外自分の目の前にあるんだ。」って気付かせてくれて、肩の力がすっと軽くなっちゃいます。 【秋田ゆかり・本町店】
■悩みはつきないものである。人がどんなに気にするなと言ってみても自分の中では大問題。色々な悩みを抱えた人々が訪れる病院。そこには注射好きな精神科医が待ち受けている。問題を抱えた人々はこのハチャメチャな精神科医の不思議な魅力にとりつかれ、いつのまにか病気が治ってしまうのである。あなたも読んでいるうちに悩みを忘れること間違いナシ!! 【E.H.・熊本店】
■駅近、庭・池・電燈付二階屋。家守求む。ただし人にあらざるもの千客万来。私はこの家に住みたい。今はなかなか感じることの出来ない、四季折々の自然がこんなに様々な姿でむこうからやって来てくれるなら、多少の怪異は我慢できると思うのです。 【酒井和美・本町店】
■100年ほど前の日本を舞台にした物語。物書きの綿貫の許には様々な精霊・妖怪が訪れる。サルスベリは恋をし、河童は犬と仲良くなる。亡き友は掛け軸の向こうから舟をギコギコ漕いでやって来る。淡々とした日常にふと混ざりあう異界が静かに美しい。四季折々の情景、日本語の美しさと共にたっぷり堪能してください。すぅ――と引き込まれます。 【保良公美・横浜店】
■――胸は痛む。幸せなときもそうでないときも。――「ミステリ+心理小説+現代小説」というとてつもない小説です。1ページ目からぐんぐん引き込まれます。久しぶりに面白いお話を読んだ満足感。三浦しをんはブレイク寸前!! 【徳水和子・松山店】
■ある大学教授をとりまく男女の愛憎を静かな筆致で描いた作品。語りが冷静であるからこそ、その向こうに透けて見える熱くどろどろとした思いが際立ち、この温度差がとても魅力的だ。この本が教えてくれるのは、人を愛しそして愛されたいという思いは貪欲だということ。まるでそれが海水であるかのように、飲んでも飲んでも満たされないばかりか、どんどん渇きは増す。そしてみんな孤独だということ。三浦しをん、渾身の一作。 【野口亜希子・新宿本店】
■この小説を一言で表現するのは、とても難しい。ひとつ言えるのは、一行目から三浦しをんの仕組んだ迷宮のとりこになる、ということ。様々な女達を愛した大学教授の一生が、5人の男の口から語られる。けれど、読み終わったところで、大学教授の実体はつかめない。ただその一人の男に対する色々な人の色々な想いだけが交錯しているだけだ。人間が人間を思うとき、そこには様々な色をした感情があって、三浦しをんはそれを何色とも言えない一枚の布に織り上げた。美しく巧みな作品だ。 【今井麻夕美・新宿本店】
■無冠の帝王、飯嶋和一の4年ぶりとなる新刊は期待を裏切らない大傑作!とにかく読んで驚いていただきたい。この国にかつて、こんなにも清々しい男たちがいたということに。権力におもねらず、金にこびない海の男たちのなんと自由なことか。数々の文学賞を辞退しつづける飯嶋さんだからこそぜひともキノベス!に選びたい。 【星 真一・梅田本店】
■これほどの力量をもった作家があまり知られていないというのは、本当にもったいない。この厚さが敬遠されるのだろうか。しかしこの枚数をもってしか描ききることのできない物語の緻密さ、深さがそこにある。舞台は江戸時代、名の知られた人物など登場しないが、金と権力にまみれた世界の中で信念を持って生き抜いた男を描いた、とても読みごたえのある一冊です。 【S.I.・ロフト名古屋店】
■気持ち悪い等と言わず、どうぞ、ご覧下さいませ。世の中には、ホモサピエンスが考えもつかないような生き物がたくさんいるのです。でも「へん」というのは形がかわっているだけではありません。小さな子供から大人まで「かわいい!」と人気のラッコだって収録されています。どこが「へん」なのか是非読んで下さい。でも、もしかしたら人間という生き物が一番「へん」で「危ない」のかもしれません。 【武田由起子・梅田本店】
■あなたの一番大切な人が突然この世からいなくなってしまったら…。親友を失った事で苦しみ、一度は生きる希望までも無くしてしまい深い暗闇のなかで自分を追い詰めてしまうが、心から死んでしまった誰かを思うとき、その誰かはこの世界とつながることができるということに気付き、新たな希望を抱いて立ち直っていく少年の姿に胸をうたれます!「世界の果てまでいって最後の力の一滴がかれるまで生きよう」という言葉に「生きる」ことの尊さを考えさせられます! 【古川路代・福岡本店】
■人はどんなに悲しくて辛いことがあっても、いつか自分の人生に戻っていこうとします。うつむいていた顔を上げて歩きだす人々の姿を書いた7つの泣ける短編集です。なかでも池田小学校の事件をもとに書いた「約束」は心にずんとくるものがありました。 【高橋典子・梅田本店】
■あなたが好き。あなたといると、いつも魂が揺さぶられるようなステキな瞬間に出合えるのだもん。絵を描くことが大好きで少し大人びた14才の少女・夕子は、美術教室の先生で、誠実な20代後半の男性・キュウくんに恋をします。他の人には見えない光景を見る二人は心のキョリを縮めていきます。前向きに頑張る主人公の少女のキラキラひかる純粋なキモチにひかれます。 【足立佳織・大津店】
■おおげさだけど、恋ってすばらしいし、とても幸せ。世の中にはこんなにもたくさんの人がいて、そんななかでたった一人の人をすきになる。それは偶然にみえる奇跡。なによりも、すきな人を今まで以上にすきになれて、私はすごくドキドキしています。 【松尾真歩・福岡本店】
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