内容説明
あの日の家族の食卓、捜します。
第一話 海苔弁 料理下手な父親が覚えた、たった一つの手料理
近体大の北野恭介は、水泳界のホープだ。彼は中一の夏から中三の卒業まで、父親に毎日同じ弁当を持たされたという。
第二話 ハンバーグ 息子の大好きなハンバーグが許せない母親の後悔
食ジャーナリストの竹田佳奈は、息子の一番好きな食べ物が、実家のハンバーグであることが気に入らない。
第三話 クリスマスケーキ 息子を交通事故で亡くした夫婦のけじめ
和菓子屋『香甘堂』を営む坂本正幸夫妻は、六年前に一人息子を亡くした。過去に踏ん切りをつける決心をしたが…。
第四話 焼飯 知られたくない、でも忘れられない過去がある
白崎初子は、鴨川こいしと大学の同級生。初子は、大企業の御曹司からプロポーズを受けているという。
第五話 中華そば 引き継がれたものは、夢を追い続ける心
小野寺勝司は大学時代、バンド練習を北大路橋の下で行っていたが、そこにはいつも同じ屋台が出ていた。
第六話 天丼 迷わん人生てなもん、どこにもありまへん
「北のひとつ星」という大ヒット曲の歌い手藤川景子は帰郷を決意したが、その前にかつてご馳走してもらった天丼を食べたいという。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
487
読みやすい原因は、定型にはめた構成。依頼人が京都駅に降り立ち食堂を訪問(おまかせの京料理も披露)→探して欲しい「食」の概要→謎解き(登場人物の人生の謎解き含め)ラストは流とこいしの夕餉への期待、そこに寿司屋の大将・浩との未来を匂わすような記述もあり。わたしも見覚えのある景色とともに、きめ細やかな京料理の数々。食堂の客である、妙という女性がめちゃくちゃイヤな女なんだけど(笑)彼女は何かを象徴しているのか。もしくこの後、大事な役割でも担うのだろうな。2023/07/30
yanae
127
鴨川食堂、二冊目。前回から引き続き安定の面白さです。料理の描写も美味しそうだし、食探しも流が頑張り、お客さんも満足、はよいのだけど、どーしても、こいしの口調やお客さんへの対応が気になる(>_<)よくお客さんなんも言わないなぁと。京都ではこれが普通なのかなぁ?にしても、前作同様、鴨川食堂、有名人が訪れるお店だな(笑)願わくば、初ちゃんが幸せになりますように。次作はこいしがすこーしトーンダウンしてますように(笑)2017/05/07
ぶち
108
食探しの依頼に来た人に供される料理の美味しそうなことといったら....この"おまかせ"の料理をいただくために、無理矢理にでも食探しの依頼をでっち上げたいほどです。そのためか、主題である食探しの料理が霞んでしまっています。それは、食探しの過程が省かれていることも一因かもしれません。思い出と共にある料理を探し出すというテーマがたいへん面白いだけに、少し残念です。見つけた来た料理の説明も浅く、レシピを読んでいるようです。やはり、依頼人の思い出と食探しの過程をもっと掘り下げて欲しいところです。2020/05/24
まさきち
103
今回も美味しい料理と気持ちがあたたかくなる話をしっかりと味あわせてもらいました。しかも身近な料理ばかりで、日頃食べ慣れてるものもちょっとしたことでこんな風に美味しくなるんだなというところも楽しめました。2022/08/09
ゴンゾウ@新潮部
103
心に残る大切な料理を再現してくれる鴨川食堂、シリーズ第2弾。食堂を訪れる動機は様々、そして料理のオーダーも人それぞれ。 思いでの味が人生が再現してくれる。とてもほっこりさせてくりる。思い出の海苔弁、ハンバーグ、焼飯、中華そば魅力的なメニューが満載。2017/09/16