内容説明
『精神現象学』って、そういう本だったのか!
SNSの時代、承認欲求は暴走し、対立は終わらず、社会分断は広がり続ける――その根底にある仕組みを、ヘーゲルは主著『精神現象学』で、まるで現代を予言するかのように鮮やかに描き出していた。のちにマルクス思想誕生のきっかけとなり、近現代思想を方向づけることになったこの名著を、マルクス解説で話題を呼んだ著者がやさしく読み解く。承認、自由、共同体をめぐるヘーゲルの洞察をたどれば、難解な古典が驚くほど現代的な書物であることがわかり、いま私たちの社会で何が起きているのかが見えてくる。分断の時代に希望を取り戻すための一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
武井 康則
11
どうして『「人新世」の資本主義』の齋藤幸平がヘーゲル?確かにマルクスはヘーゲルの系譜だけど。歴史哲学とか弁証法から絶対知に至るとか。どうやらそんなのではないようだ。ヘーゲルは有限の我々には客観的な真に至れず、それでも社会を成り立たせ、よりよく生きるためには他との共存を考えねばと考えたらしい。そんな関係を考えたのならこれは現代哲学ではないか。原本から大胆に要約省略し、今に通じる論としている。そして最後にヘーゲルの至れなかったよりよい社会のためにマルクスを登場させている。納得。2026/10/25
リュシス
3
「ヘーゲルはカントの50倍難しい」(p.15)らしい。ところが、この本を読んでいると「なーんだ、そんなことか。当たり前じゃん」となってしまう。これはこれで危険だ。難解な哲学をこれほど身近に感じさせてくれる著者の説明はありがたいけれど、わかった気になっているだけではないかという不安も残る。特に、ヘーゲル独自の考え方がどこにあるのか、ほかの哲学者と何が違うのかが、かえって見えにくくなる。難しい哲学をわかりやすく説明することの素晴らしさと、その難しさの両方を味わった。2026/10/20
TM
3
マルクス研究者がなぜヘーゲル?と思っていたら,ヘーゲル哲学がマルクスの考え方の基礎にあったとは。ヘーゲルの思想を,とても分かりやすく解説してくれている。現代の個人主義を貫徹するだけの発想で終わらず,人間が社会的存在であることを無視しない考え方で,わかりやすい一つのルールを提示するわけではないけれど,複雑な現代社会をなんとか少しずつでもみんなで良くしていこうという強い意思を求めている。法律家としては,日本国憲法にある「不断の努力」をまさしく求める思想だと感じた。2026/10/20
hayabusanotsuji
2
ヘーゲルの主著である『精神現象学』の入門書⋯⋯というよりは、これを概説することによりヘーゲル哲学がいかに現代を生きる我々にもコミットしうるものかを明らかにしようという試み。個人的にはコロナ禍のころだったかなあ、バラバラになりつつある社会情勢において、弁証法で物事を考えるのは社会を再結合するのに有用だと思う、なんて知人に話したりしていた。そんな個人的経験もあったので、何だか答え合わせのようにして読めた。さすがに寝ながらは無理でも、平易な言葉で書かれており、ヘーゲル哲学のエッセンスを理解した気になれる1冊。2026/10/25
雑食読書家#wZ5FP1
2
現代に通じる。正しいが善でそれ以外は悪 立場が変われば、その逆になのに 様々な側面を哲学者「ヘーゲル」伝えたかった事を そんな見たかもあるねと気楽に読んだ一冊2026/10/20




