内容説明
写本挿絵が語る書物文化の構造、性質、存在意義
本書は、大英図書館所蔵の五~十六世紀末の貴重な写本を中心とする図版九十点あまりを土台に、いわば写本挿絵自身が語る書物の社会的、霊的役割の分析を、目で見ながら味わうものである。
序論では、書物の物理的な形式、書物の象徴性と実用性、古代からルネサンスにいたる書物のイメージの変遷、ヨーロッパ文化圏を超えた広域な書物文化についての考察がなされ、本書で扱うテーマ全体が整理されている。続く第I・II部では、キリスト教信仰における聖なる象徴としての「神の言葉」や「命の書」といった概念の視覚化、世俗写本に関しては「記憶の宝庫」や「法の重み」を代弁する本の姿が登場し、それらを知の伝統、芸術、信仰の交差する場として読み解いている。受胎告知の場面で描かれる聖母マリアの読書、文字を書く人の足元に置かれた巻物の意味……。描かれた本のページ上の微細な文字は、文字様の線にすぎない場合もあれば、聖書の一節や、天使のお告げに対するマリアの返答が記されていることすらある。
「書物」を描いた写本作品をテーマ別に展開する本書は「書物」の図像学研究の基礎となるだろう。
【目次】
I 象徴としての本
第1章 神の言葉
第2章 主の律法
第3章 聖母マリアの読書
第4章 美徳と悪徳の人生と書物
第5章 書物自身
II 実用品としての本
第1章 写字生と著者
第2章 教師
第3章 読者
第4章 本の贈呈
第5章 典礼用と世俗用の書物
第6章 書物の救出と破壊
用語集/監修者あとがき/精選文献目録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
47
これは題名のとおり、写本に描かれた本というモチーフを解説する本です。私のような不学な者は記号として本が描いてあるなぁくらいにしか思わないのですが、本の形態、ページの文字、絵などを事細かに解説していきます。挿絵の写本もオールカラーで見やすいです。ふむふむ、なるほどと流して読みました。文献目録、索引も素晴らしい充実ぶり、写本に興味のある方は手にとりたい一冊です。2025/12/07
ラウリスタ~
4
流し読み、図版が綺麗。2025/09/07
takao
3
ふむ2026/02/08
Go Extreme
1
写本に描かれた書物の図像 深い象徴的意味と社会的機能 書物の民 象徴としての書物 神の言葉 生命の書 聖母マリアの受胎告知 美徳の擬人化 意味を込められた記号 布で覆われた手 マニブス・ヴェラティス 使用される書物 書物制作過程 写字生と照明画家 読書共同体 学習する大学生のイメージ 女性読者と彼女たちの模範的教師 歴史的な焚書 奇跡的な書物の救済 コデックス(書物の支配的な形態) 開いている、または閉じているコデックス 図像の詳細に対する熟練した目 写本学 儀式(ミサ、聖務日課)での使用 豊かな意味の層2025/11/16
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