内容説明
金田一耕助は、横溝正史のミステリに登場する名探偵である。
金田一耕助が活躍したのは、日本が戦争へと突入する直前の昭和12年から、戦後の復興期を経て高度経済成長期に至る昭和48年までの、およそ30数年にわたる。
事件の舞台となるのは、岡山や信州など地方の名家、戦争で街も人の心も壊された東京の焼け跡、新興住宅街などである。そこに登場する建物もまた、江戸時代から続く屋敷やマンモス団地、私財を投じて建立した三重塔など時代も様式も実に様々だ。本書では、それら建築物の間取りや来歴を考察しながら紹介していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
159
金田一耕助が殺人事件を解決する舞台となった名家や富豪の屋敷は、グリーン家やハッター家など足許にも及ばない大邸宅ばかりなのを初めて知った。今時こんな広壮な自宅を構えたら闇バイト強盗犯の標的になるのは間違いないが、戦前の権力者や資産家は巨大建築で自らの力を誇示せずにはいられなかったのか。令和の日本人には映画で見た程度では想像もできない広さなので、横溝正史作品には必ず本書にある間取りを転載すべきではないか。豪邸の事件ばかりに取り組んでいた金田一だが、その自宅や事務所は普通のサラリーマンと大差ないのがうら悲しい。2026/09/22
ちょろこ
111
堪能、の一冊。タイトル通り、名探偵金田一耕助の数々の事件現場、お屋敷の間取り図をたっぷり堪能できる、ファンにはたまらない贅沢感。しかもフルカラーであの時の世界観が視覚的に迫ってくるのがいい。時間上、超有名作品だけ拾い読みをした。犬神家はこんなにも広い屋敷だったことにびっくり。洋館と日本家屋の美しい外観。遺言状が読み上げられた和室は座ってみたくなる。しかも珠代さんの住む洋館の詳細な間取り、これはかなりマニアックだわ。八つ墓村の田治見家の敷地全体図、床の間の秘密も細かくて興奮。横溝正史疎開宅も行ってみたいな。2026/10/12
さっちゃん
57
金田一耕助が手がけた事件現場を「間取り」「建築」という視点から、ネタバレなしで優しいイラストと共に読み解く。扱う事件は「本陣殺人事件」「獄門島」「黒猫亭事件」「八つ墓村」「犬神家の一族」「迷路荘の惨劇」「女王蜂」「幽霊座」「蜃気楼島の情熱」「悪魔の手毬唄」「三つ首塔」「白と黒」「病院坂の首縊りの家」。加えて金田一耕助の住まいと充実のラインナップ。/横溝を読んだのは遥か昔なので映像作品のほうが建物のイメージが残ってる。本書片手に横溝を読むと最高&かなり贅沢。パラパラ眺めるだけでも楽しい一冊。2026/08/15
がらくたどん
55
読み終わるという感じの本ではないが楽しい。金田一作品13編に事務所・住まいのオマケ付き。本編を読みつつ眺めれば紙上RPG気分、眺めつつ思い出せば「例の場面」が舞台とともに立ち上がる。事件の舞台に高確率で現れる屋敷内にある切り離された空間が面白い。本陣・八つ墓村の「離れ」獄門島の「座敷牢」そして離れ・洋館・ボート小屋と集大成的な犬神家。初期作は戦後から覗く戦前の名家の名残が曰くありげな不穏さを醸し出す。30年を過ぎるとアパートや団地・エレベータのある写真館が出てきたりで横正の時流を呑み込む作家性も素敵だ♪2026/10/13
雪紫
54
金田一耕助シリーズから事件の舞台をピックアップ。原作じゃ描かれない平面図や周囲、小物だけじゃなく金田一耕助の住居を丁寧に再現。不思議と和み絵柄で、実写するに当たって原作からの変更点も言及した丁寧な解説。原作にも興味を惹かれる贅沢な1冊(原作より実写やJETさんの漫画の方が見たの多いので・・・)。眺めてられますわ・・・。2026/07/12




