内容説明
「ポーカー」のトランプVS「チェス」のイラン
トランプ大統領が「ポーカー」(予測不可能性と直感で勝負する短期決戦)をやっているのに対して、イラン側は「チェス」(一手一手、理詰めで考える持久戦)を指している。異なるルールで同じゲームをやっているから、互いに相手の「意図」を読み間違ってしまう。
トランプ大統領は、交渉(ディール)で有利なポジションに立つために、まず「高めのボール」を投げます。「ブラフ」(ポーカーで弱い手札なのに強い手札のフリをして相手の判断を誤らせる「はったり」や「虚勢」)をかけるわけです。ところが、イラン人にはそもそも「ブラフ」という発想がない。「高めのボール」をそのまま真に受ける結果、互いの「意図」を超えて事態がエスカレートしてしまう。
イラン側は、巧みな「非対称戦略」で米国を「持久戦」に引きずり込み、徐々に形勢を逆転させていきました。「ホルムズ海峡の封鎖」によって、「ガソリン価格」を高騰させ、11月に中間選挙を控えるトランプ大統領を追い詰めていった手腕は実に鮮やかでした。
イランは、「軍事面」での劣勢を、「政治戦」「経済戦」「心理戦」で補う構図を見事につくり出したのです。米国の航空戦力や海軍力と真正面から競えば、「戦術的」に勝ち目はない。しかし、相手の政治的脆弱性を突くことで主導権を奪う──
いま、世界最強の軍事力を誇る米国のトランプ大統領を最も苦しめているのが、ガソリンスタンドの「ガソリン価格」であるのは、究極の逆説ではないでしょうか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
65
著者はイスラエル、サウジ、イラン大使館勤務(イランでは大使)という希有な経験を持つ外交官で、特にイラン人の気質やイラン外交官(現外務大臣)との親交もあったとのこと。短期決戦のポーカー的「はったり」でことを乗り切れると思っていたトランプに対し、チェスのような長期戦略で対抗しているイランのしたたかさを強調する。同時に、やり過ぎて和平のハードルを上げる傾向があることも警告する。全体に冷静な筆致であり、中国や湾岸諸国の動向にも注意を払う。ネタニヤフに振り回され、原油高騰で自分の首を絞めていったトランプの愚かさ!2026/09/14
よっち
26
トランプの「ポーカー」とイランの「チェス」異なるゲームを同じ土俵で戦っているという視点から互いの意図がすれ違い、事態がエスカレートしていく状況を解説していく1冊。予測不可能性と直感で勝負する短期決戦をやっているトランプに対して、一手一手、理詰めで考える持久戦をやろうとしているイラン人は相手の脅しを真に受け、非対称戦略でじっくりと反撃する。軍事力で劣勢でも、政治戦・経済戦・心理戦で主導権を奪う姿は現代の戦争の本質で、イランの背景解説も丁寧で説得力がありましたし、国際政治の読み違いの怖さを痛感させられました。2026/08/26
トト
3
アメリカがイランに負けた!と断定する題名に惹かれて手に取る。イスラエルとイラン両国の大使館に勤めた経歴を持つ著者は、イラン贔屓の立場を取りながらも、文脈は論理的に語られています。国の性質、国民性、地域性から、今回の戦争の流れ等、大まかに理解できる。イランの数千万のミサイルを迎撃するのに48億円!長期戦は大国が有利のイメージがあったが、今やそれは真逆で、世論や経済(ガソリン高騰等)の影響を無視できない資本主義国家の方が圧倒的不利。かの大国は歴史的に見ても、札束で叩くのは得意でも、戦略、戦術は下手過ぎます。2026/09/17
Akio Kudo
2
★★★★★ 同意できないところはあるが、今の世界情勢を知るには他にない本。何故イラン🇮🇷あそこまで苦戦したのか?負けたのか?それを考えると日本の生き残りの参考になる。2026/11/01
みんな本や雑誌が大好き!?
2
2026年2月に開戦してまだ半年足らず(この本の刊行は7月)で「なぜ米国はイランに負けたのか」とはケシカランにもホドがあるタイトルの本だと思って手にしました。でも、一読してフムフム、なるほどねという感じで読了しました。いや、(ほぼ)おっしゃる通りですなと。 著者は元イラン大使でイスラエル大使館などに勤務したこともあるとのこと。サウジにも勤務したこともあり、この三カ国での勤務体験のある唯一の日本の外交官。2026/10/15




