内容説明
父の急逝により、跡を継ぎ「小石川養生所」の見廻り同心として初出仕した結城長三郎。病を患った貧しい人々を収容する養成所は、与力、同心、医師、看病中間などが支えている。薬の匂いや病人の様子に戸惑う長三郎に、早々、謎めいた紙片で接触がある。生前、何も手ほどきを受けてこなかったが、どうやら亡き父は内部に手下を忍ばせていたらしい。職務怠慢や不正といった悪い噂の絶えない所内で、父は何を探っていたのか……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
170
砂原 浩太朗、5作目です。 本書は、時代ミステリ青春譚でした。私は、公私共々、旧小石川養生所界隈に、出没しています。 https://books.kobunsha.com/book/b10193300.html2026/10/12
パトラッシュ
154
江戸時代が舞台のコージーミステリを読んだ気分。身寄りのない貧民や独身の病人を収容する小石川養生所は犯罪とは無縁に思えるが、人の集まる場所では必ず目に見えない衝突や隠し事が生まれる。父の急死で養生所の見廻り同心職を継いだ長三郎は、ふとしたことから父が所内の不正を調べるため手下を潜ませていたのではと疑う。様々な事件に巡り合って人を見る目を養い、根岸鎮衛ら上司や周辺と協力し経験を積んでいく。いわば警察一家の新人警官がOJTで成長していくお仕事小説であり、大事件は起こらないが微笑ましく読ませる爽やかな青春物語だ。2026/08/20
hiace9000
128
『赤ひげ診療譚』で知られる「小石川養生所」が舞台のミステリー時代小説。寡黙で一徹な父の急逝により見廻り同心として、何のてほどきも受けぬまま後を継ぐことになった若き結城長三郎。苦しむ病人の姿や薬の匂いに戸惑う長三郎のもとに、早々、謎めいた紙片で接触が。黒い噂の絶えぬ所内の真相を探るため、父は内部に手下を忍び込ませていたらしいのだが…。四季折々の野鳥や自然美、身の回りの音や匂いなど五感と近景‣遠景を巧みに織り交ぜ描く深みある砂原筆。葛藤しながらも亡父、上司を師やメンターにし成長しゆく姿を凛と描く武家青春譚。2026/10/12
いつでも母さん
123
父が何を遺したのかよりも、後を継いだ長三郎の成長の日々。初めての仕事は間違えたりするものだ。若いって失敗して学んでいくのよ。『人の世では、あらゆることが起こり得る。あり得ぬことなどないのだ。』先達も言ってるじゃない。ここから先の長三郎がどんな道を歩いているのか・・とても気になるところだ。是非続きをお願いしたい。お奉行は「おのれの勘を頼るといい」と言う、さて長三郎は頼れる生き方が出来るか・・2026/08/10
はにこ
96
父の急逝により、同心を引き継いだ長三郎の話。小石川に養生所があったのは知っていたけど、同心が詰めていたのか。病人や、看護人にもそれぞれ抱える事情がある。長三郎は特に優れた人とも思えないけど、父の手下などと知り合い、養生所の謎を暴く。美しい文章で、その場面が目に浮かぶようだった。2026/09/08




