内容説明
『カウンセリングとは何か』で新書大賞に輝いた臨床心理士・東畑開人が、4人のミドル・エイジ・クライシスを聞くことで、現代中年の心とその危機を明らかにする。
インタビューゲスト:尾崎世界観、角田光代、鷲田清一、千正康裕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゼロ
61
ミドルエイジクライシス、謂わゆる中年の危機について、著者の見解と著名人4人のインタビューをまとめたもの。分類すると「青年に戻る物語」、「親になる物語」、「影を生きる物語」がある。ここに、新しい「停滞の物語」はあるのではないか?と尾崎世界観さんの言葉を受けて、著者は考えた。「カードは出揃っている。 そのカードで続けていく」の言葉に感銘を受け「停滞の物語」について深掘りをするのかと思いきや、尾崎世界観さんのみがこの物語を語り、他の3人は既存の物語だった。結論が甘く、浅瀬で結論するのではなく深海まで行きたかった2026/07/18
akihiko810/アカウント移行中
23
臨床心理学者の著者が、4人の著名人(尾崎世界観、角田光代、鷲田清一(哲学者)、千正康裕(元官僚))への「中年期にどう過ごしたか」というインタビューを通して、「中年の危機」とはどういうものかを考えた本。印象度B 私は今まさに「ミドル・エイジ・ビギンズ」な年齢で、「中年危機」の予習として読んでみたのだが…。期待していたのとは違って、答えらしい答えはやはりなかった。 角田光代は「じっくり小説を書きたかったから、連載をなくして仕事量を減らした。現実の収入減が怖かったからパソコン教室に通った」という。2026/08/04
りんだりん
21
私も今年で50歳になる。中年の危機真っ只中。4人の方のインタビューのなかにもそれぞれ共感する部分が少なからずあるということがその証拠なんだと思う。クライシスではなくビギンズという名前はとてもいいな。前向きな感じがして。特にいま中年を迎えているのは下りゆく日本で人生の大半を過ごしてきた世代だから、ほかの世代で比べても不満もあるし後悔もある。そんなのも全部背負って残りの時間を生きるのもいいし、それを全部捨てて新しいチャレンジでまた上手く行かないのを味わうのもよい人生なんだと思う。★32026/07/29
kum
18
4人へのインタビューを通じて中年期の自分との向き合い方の考察。尾崎世界観さんの「カードは出揃っている。そのカードで続けていく。」という表現が印象深い。降下が始まる中で自分の弱みも影も引き受けながら「どうにか着地するための自分なりのやり方」を探していくのが中年期。もう若くはなく時代も変化していることを自覚しつつ、青年期とは違う自分を創作しなければいけない。「青年と中年がせめぎあい続ける。そこでの妥協の仕方やブレンドのあり方にそれぞれの人生の独自性が現れる」のが現代のミドルエイジの構造だという言葉に納得。2026/09/27
たか
13
まだミドルエイジはビギンしていないと信じている自分だが、可能性の窓が次々と閉じつつある感覚はある。「カードは出揃った」状態でどう戦うか。4人へのインタビューは個性に溢れていてシンプルに面白かったが、この中ではやはり鷲田先生の言葉が良い。優しくて力があって引き込まれる。停滞の苦しみをそれぞれのやり方で乗り越えているが、資本主義との相性のよさ故に「青年に戻る物語」を組み込まざるを得ないのが現代中年問題の特徴だという考察。人間関係の喪失ではなくキャリアの危機という「魂の浅瀬」に焦点を合わせているのも現代的。2026/09/22




