内容説明
二〇二四年六月、ドイツ全土を襲った暴風雨が、ウンターリンゲンの村に洪水となって押し寄せた。村人がこぞって避難する中、ひとり暮らしの自宅から出るのをかたくなに拒む八十一歳の老婦人グデリアは、深夜に見知らぬ男女の死体が家の前を流れ去るのを目撃する。四十年前、愛息のニコを喪って以来人が変わり、我が家に固執するようになったグデリア。小さな村に甚大な被害をもたらした洪水が引いたあと、孤独な老婦人を待ち受けていたものは……? 著者の実質的デビュー作にして、ミステリ文学賞二冠&ドイツ推理作家協会賞候補の衝撃作登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
68
2024年、村を大洪水が襲った中、81歳のグデリアは避難しない。なぜ家にこだわるのか?物語は息子が殺された1984年、夫のアル中が酷くなった1998年、2024年現在を行き来しながら進んでいく。グデリアはどんな人生を送ってきたのかを追ううちに、その性格があらわになってくる。終わり方がスッキリしない気がするものの、このミステリアスな老婦人の生き方を知りたくて一気読みだった。【ドイツ・ミステリ大賞】【シュトゥットガルト・ミステリ賞】受賞2026/07/22
M H
33
大洪水で家がボロボロになっても避難しない老女グデリア。3つの時間軸で息子が殺された過去や酒に溺れた夫との時間、彼女が家にこだわる様子が進行する。謎単体でみると特に驚きはなくても、どこか不可解さを残したままクロージング。結局グデリアはどんな女性だったのか、あの時アレが起きなければどんな人生だった?高いリーダビリティーかつ考えずにはいられないお話。家に漂着したブタが良い味を出している。2026/08/15
tosca
31
ドイツの小さな村を洪水が襲い、住人全てが避難する中、81歳のグデリアは自宅にとどまった。電気も水道も使えず浸水被害で劣悪な環境の家になぜ固執するのか。まあ、なんとなく理由は分かる。ほぼ自分の想像が間違いないであろう結末を確認するためにページをめくる。40年前に息子を亡くし、アルコール依存の末に亡くなった夫に苦労させられた不幸な人生は気の毒だが、この主人公は単なる淋しい高齢者ではない。心が病んでいるのかと思えるほど、頑固で他人を寄せ付けず孤独である。私は全く好きになれない女性だけど、グデリアの物語だった。2026/09/16
本の蟲
20
河川の氾濫で皆が避難するなか、一人村に残った81歳の老婦人グデリア。その深夜に目撃した、濁流に流されていった男女の死体。愛息を失った事件と、その後、そして現在の3つの時代から徐々に明かされる、グデリアが家を出ようとしない理由。グデリア宅の秘密は序盤から予想できたが、死体発見の推移と息子の事件後のなりゆきが気になって読む手は進む。決して一夜で狂気に陥ったわけでもなく、日常の延長で語られるグデリアの歪み、敬虔なキリスト教徒としての自覚が逆に恐ろしい2026/08/19
練りようかん
17
窓からの殺人目撃、しかし見た側はある種のクローズド・サークルにいるという設定に興味引かれた。主人公は81才。墓のそばにいること、避難指示が出ても家に留まること、主人公の執着が濃霧を思わせて、過去に何があったんだとページを捲る手が止まらなかった。息子が死んだ1984年と現在が、事故から殺人へ捜査を切り替える点で重なって上手い。罪の意識が見せた幻影を疑い、家には人生が詰まってると言うが詰まってるのは人間じゃと思い、主人公の語りが冷静であるほど怖くてゾクゾクしっぱなし。ミステリ文学賞受賞も納得の面白さだった。2026/10/10




