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内容説明
1948年6月13日、太宰治が情死する。逸早く知らせを受けた安吾は、その死に何を見たか。太宰論から文明論に到る圧巻の「不良少年とキリスト」。もうひとりの文学的盟友、織田作之助の喪われた才能を惜しむ「大阪の反逆」。戦後の日本に衝撃を与えた「堕落論」で時代の寵児となった著者絶頂期の、色褪せることのない評論9編。二つの「無頼派座談会」と文庫初となる掌篇小説「復員」を特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
321
感想は表題作のみ。「不良少年とキリスト」は、太宰の自殺の翌月の「新潮」に掲載。作中で、太宰の死に対するコメントを求めてマスコミが安吾のもとに殺到するのを敬遠しているが、安吾自身はこうして書き残すつもりだったようだ。盟友の安吾による太宰論である。ここで安吾は太宰と芥川をともに「不良少年」だと言い、彼らは2人とも「泣き虫小僧」らしく、キリストを引き合いに出したと述べる。安吾はまた「生きることだけが大事」だと言い、それができなかった太宰を「虚弱」であり「フツカヨイ」だと言う。そして、太宰にあるのは語りの上手さ⇒2026/01/01
青蓮
93
安吾の評論はどれもパンチが効いていて刺激的。「男女同権」は明らかなセクハラ行為を肯定するような内容だけれど多分安吾の意図はそこではないと思う。解説で「何かにつけてハラスメントとすぐ騒ぐことがハラスメント・ハラスメント」と安吾に言わせてるけれど納得する部分は無きにしも非ず。2つの無頼派座談会は面白すぎた。安吾がやたら太宰の才能を褒めてるところに情を感じるし、この3人が語らう様子が微笑ましい。織田が死に、太宰が死に、遺された安吾は凄く寂しかったに違いない。きっと安吾は甘い感傷とは無縁であっただろうけど2019/07/30
愛子が天皇になれないのは絶対におかしい・寺
78
近頃坂口安吾の本がたくさん新装版で出ていて嬉しい。大半は青空文庫で読めるとは言え、やっぱり紙の本が良い。本書も「来月の文庫新刊」で知ってはいたが、書店で見て思わず買った。奥付に「令和元年」と書かれた本を初めて買った。冒頭に実は安吾も写っていた林忠彦の太宰治のルパンの写真と近年発見された安吾のショートショート『復員』。新しく文庫で出る事の意義ってあるよなぁ。『復員』は手足を失くした復員兵の話。先頃江戸川乱歩関連の本を読んでいたので『芋虫』と近い設定なのに、安吾と乱歩ではこう違うのかと感嘆。安吾は、優しい。2019/06/05
佐島楓
73
太宰と安吾と織田作之助の座談会に笑う。速記で記録している側もさぞ「くだらねぇ」と思いながら聞いていたことでしょう。凄い面子なのにやけくそ感が漂っている。座談会だけではなくて全編にこのやけくそ感が充満している文庫なのだけれど、それはあの大戦を生き延びたあとの虚脱感が醸し出すものなのか。太宰の死を論じた表題作に一番それが表われているのが悲しい。2019/06/28
佐島楓
62
再読。論の展開の方法がかなりの力技で、社会や政治、戦争への怒りのパワーで読ませる感じが安吾独特。太宰や織田らとの座談会では酔っているのか大半が女の話。とりあえず太宰は安吾にとって特別な存在だったことは表題作から痛いほど理解できた。2021/07/02




