内容説明
ウクライナとロシアの対立の原点は?
大飢饉「ホロドモール」を生き抜いた人々の証言
グラフィック・ノベルで描くウクライナ近現代史
イタリアを代表する漫画家が、現地での聞き取りをもとに、
ウクライナの苛烈な歴史を背負う人びとの生き様を描く。
私はウクライナ人の物語に耳を傾け、本に描くことに決めた。
それはたんに、私にとっても、胸にしまっておくことが難しかったからだ。
ここに描かれているのは、道ばたで偶然に知り合った人びとの物語。
鉄のカーテンにきつく抱かれた状態で生まれ、生きる運命にあった
人びとの身に起きた現実の物語だ。(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
108
著者の漫画家イゴルトは90年代日本で活動したこともあるらしい。チェーホフに関する漫画を構想し、2008年から翌年ウクライナとロシアで過ごした。そこで1932-33年にウクライナで起きた大飢饉を知った。スターリンの命令によるウクライナ人を標的にした「ホロドモール(飢餓による殺人)」により少なくとも200万人、多ければ800万人が亡くなった。人肉や屍肉を食らい飢えをしのぐ姿、生きながら墓穴に放り込まれる病人、木の根をしゃぶる毎日、ホロドモールが集団殺戮であったことを国連に提出したが罪と認めた国は14カ国のみ。2023/05/13
Nobuko Hashimoto
26
イタリアのグラフィックノベルというのだろうか、大人向けの字が多めの漫画。2008年からウクライナを訪れ、現地の人々から聞き取った体験、特に1930年代の大飢饉(ホロドモール)を中心に描いている。人肉食いも発生した凄惨さを表すのにマッチした画風…2023/04/10
内島菫
18
人間は本当にろくなことをしないと意地悪でも皮肉でもなく素直(?)に思えるほど、ウクライナの普通の人々の過酷な体験が綴られている。人為的に引き起こされた飢饉ホロドモールを生きのびた語り手たちには、しかしながら誰かあるいは何かに対する恨みは感じられず(語らなかったもしくは本作に描かれなかっただけで恨みがあったとしても)、むしろ通奏低音のような穏やかさに貫かれている印象を受ける。いわば聖性の一種を彼らから感じるのは、彼らが悟りを得たからではなく、これ以上落ちることも上がることもない地平を示して見せているからでは2022/12/04
泉を乱す
8
映画「赤い闇」で知った大飢饉に関して、今回はグラフィックでインプット。寒い、つらい、この暗さをどう受け止めたらいいんだろう。2022/12/04
タキタカンセイ
6
市民へのインタビューで描かれるウクライナ。作者はそこにソ連時代の暗い影を視る。戦争、ナチス、共産主義体制、そしてホロドモール(人為的飢餓による大量虐殺)。ドイツはユダヤ人虐殺について総括している(それが十分かどうかは意見が分かれるだろうが)。しかしロシアはホロドモールについてまだ反省も総括もしていない。それが今回のウクライナ侵略につながっていることは間違いない。10年以上前に描かれた本だが暗い予感に満ちている。グラフィック・ノベルだから学生でもすんなり読めると思う。学校の図書館においてほしい。2023/11/24




