内容説明
織物の街・桐生。養蚕農家に生まれた芳乃の楽しみは、自ら染めた糸で心の赴くままに布を織ること。そんな彼女の生活に、戦争という時代の波が押し寄せてくる。時は流れ、都内でトリマーとして働く詩織は、母との確執を抱えていた。そして、偶然訪れた桐生で彼女はある織物と出会い……。二人の人生の糸が絡み、ほぐれ、そして美しく織り上げられていく感涙の物語。『世はすべて美しい織物』改題。(解説・吉田伸子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
25
昭和の桐生養蚕農家の娘として生まれた芳乃と、現代の東京でトリマーとして働く詩織。思わぬ形で繋がる織り人たちが抱える業と歓びの物語。 戦前に1人で着物を作り上げる腕を見込まれ、嫁いだ先でのめり込んでゆく芳乃。なぜか手芸に関わることを母に強く反対されながら、桐生の織物と出会い過去の糸に引き寄せられてゆく詩織。2人を導いてくれた人との出会いと転機があって、様々な逆境でものめり込まずにはいられない業の深さに、時には迷いながらも大切なことを見失わず、自らの生きるべき道を見出していく生き様が強く印象に残る物語でした。2026/06/24
エドワード
24
昭和前期、桐生の町に住む、養蚕と機織りを好む須田芳乃は、町一番の織物商、新田家の次男・達夫に嫁ぐ。芳乃の織物の腕は達夫も認める評判だった。話は現代に飛ぶ。高橋詩織は母の絹子と二人暮らし。詩織の織物好きを絹子はよく思っていない。ある時、桐生の手づくり市に誘われた詩織は、母の反対を押し切り桐生へ行き、そこで新田連という青年と出会う。物語は昭和と現代、70年の時を交互に描き、新田家の女性たちの織物への情熱を語る。芳乃と詩織をつなぐ運命の糸。絹織物は人を虜にする。終盤で出て来る「誰もが織り人なのだ」の言葉が秀逸。2026/07/23
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