内容説明
中世日本美術から現代アート,ミュージアム展示までをフェミニズム,ポストコロニアル批評を導入して論じ,「主体」が「客体」に向ける欲望に満ちた視線を分析するとともに,作品に宿る他者の痛みや希望を引き受け,この社会を問い続ける.美術史研究の新地平を拓いた著者の重要論文を選りすぐり文庫化.(解説=吉良智子)
目次
はじめに(池田 忍)
Ⅰ 日本美術の研究実践
1 嘲笑する絵画――「男衾三郎絵巻」にみるジェンダーとクラス
2 醜い女はなぜ描かれたか――中世の絵巻を読み解く「行為体」とジェンダー
3 天皇の母のための絵画――南禅寺大方丈の障壁画をめぐって
4 土地が描かれることの意味――滋賀県立近代美術館蔵「近江名所図 風」再考
5 『伊勢物語』の絵画――伝統と文化を呼び寄せる装置
Ⅱ 現代へのまなざし
6 日本美術史とフェミニズム
7 女を装う男――森村泰昌「女優」論
8 支配的,権力的な「視線」の意味を問い,美術史のパラダイム・チェンジをはかる
9 美術とジェンダー
10 アジアの現代美術――ユン・ソクナム作 《光の美しさ,生命の尊さ》
11 あなたへのプレゼント――出光真子さんの作品
12 戦争のイメージ
Ⅲ 歴史と展示をめぐって
13 戦争と植民地の展示――ミュージアムの中の「日本」
14 台北の故宮博物院を訪ねて――「美術」と「政治」の関係,鮮明に
15 見る者・見せる者の立場を問う展覧会――「インサイド・ストーリー 同時代のアフリカ美術」展に寄せて
16 視覚的に歴史の隠蔽をはかる
17 希望を身体化する――韓国のミュージアムにみる植民地の記憶と現代美術
解説(吉良智子)



