内容説明
5世紀以前、複数の王族集団から適格者が即位していた大王。だが6世紀初頭、北陸からヤマト王権の有力豪族の招聘によって、王権との血縁が不確かな継体天皇が即位する。彼はどのような背景を持ち、なぜ即位できたのか。あるいは新王朝だったのか――。
王位継承後、朝鮮半島の新羅、九州の国造磐井など敵対勢力と向き合い、反乱を収め権威を確立していく。血統重視の世襲による天皇家を創った「始祖王」継体天皇と、6世紀の倭の実態を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
111
皇統の議論の時に必ず登場する継体天皇。万世一系を主張する人に対し、継体天皇で王朝交代があったのではと。著者は、継体天皇は複数の王族集団の間で大王位が移動するという五世紀的な手続きで即位したが、一方、継体天皇以降は近親間で大王位が継承される世襲王権になったのだとする立場。そもそも、即位の事情ばかりに注目し、その業績に無関心というのは天皇に失礼な話で、本書を通じて、磐井の乱や新羅との関係など、継体期の政治的成果が分かったのはありがたい。記紀を含め、互いに矛盾する史料から事実を紐解く古代史の面白さを味わう一冊。2026/08/22
まーくん
98
以前から懸案となっていた皇室典範改正が何やら肩透かしのような感じで成されてしまった。そんな微妙なタイミングで出版された本書は結構注目されているよう。5世紀以前 のヤマト王権内部では大王を輩出する王族集団が複数存在。その中の適任者が即位してきたが、6世紀初頭、王権との血縁が不明瞭な北陸の有力豪族が即位する。継体天皇である。このような王位継承方式は北方の遊牧民族の継承が思い浮かぶ。実力重視と云える。彼は磐井など敵対勢力の叛乱を、収めるなどし権威を高め、近親者で王位を継承する血統重視の世襲制を確立させる。⇒2026/08/12
まちゃ
59
文献資料の少ない6世紀初頭のヤマト王権について歴史研究の最新の知見に触れることができ、興味深かった。古代の天皇家の系譜も第26代 継体天皇についても、まったく知識がありませんでしたが、歴史ロマンのようで面白かったです。2026/07/20
Tomoichi
39
過去に継体天皇について書かれた本を読んでいるのに、完全に忘れていて新鮮な気持ちで読む。他の研究者の著作と比較して読めばより深い理解が出来るだろうが、それはマニアに任せます。継体天皇と言えば神話の世界の人に感じが、息子は欽明天皇で孫は推古天皇。そう教科書に出てくる天皇らで、確実に現天皇家の始祖王なのだ!なんてロマンのある話だ。内容については真実は闇なんで推理小説のように楽しく読みましょう😆2026/07/25
よっち
32
朝鮮半島の新羅、九州国造磐井など敵対勢力と向き合い、反乱を収め権威を確立し、血統重視の世襲による天皇家を創った始祖王・継体天皇と6世紀の倭の実態を描く1冊。6世紀初頭に複数の王族集団から適格者が即位した大王ではなく、北陸からヤマト王権の有力豪族の招聘によって即位した王権との血縁が不確かな継体天皇。それを血統重視の世襲制へと移行させた始祖王と位置づけ権威を確立する過程を紹介していて、実力と同盟関係が重視された地域の顔役的な側面が強かった天皇位を、徐々に世襲による王権へ変わる転換期だったことを感じさせました。2026/06/17




