内容説明
日本には現在もなお、無尽蔵と言える古文書が未発見・未調査のまま眠っている。
戦後の混乱期に、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を夢見る壮大な計画があった。
全国から大量の文書が借用されたものの、しかし、事業は打ち切りとなってしまう。
後始末を託された著者は、四〇年の歳月をかけ、調査・返却を果たすが、その過程で、自らの民衆観・歴史観に大きな変更を迫られる。
戦後歴史学を牽引した泰斗による史学史の貴重な一齣。
1999年刊行の名著を改版。
目次
まえがき
第一章 挫折した壮大な夢
第二章 朝鮮半島の近さと遠さ――対馬
第三章 海夫と湖の世界――霞ケ浦・北浦
第四章 海の領主――二神家と二神島
第五章 奥能登と時国家の調査
第六章 奥能登と時国家から学び得たこと
第七章 阪神大震災で消えた小山家文書――紀州
第八章 陸前への旅――気仙沼・唐桑
第九章 阿部善雄氏の足跡
第十章 佐渡と若狭の海村文書
第十一章 禍が転じて福に――備中真鍋島
第十二章 返却の旅の終わり――出雲・徳島・中央水産研究所
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yone
2
貧しい農村と思っていた村が実は各地と船で交易する都市であった等古文書から読み取る著者の興奮がリアルに伝わってきた。そして借用した古文書の管理、保存と返却がいかに大変なのかも素人ながら少し垣間見れた。文中義兄の中沢厚氏の名前が出てくるが、考えると人類学者の中沢新一氏の父かと気付いて、おおって思いました。2026/06/05
ナオ
1
いかに学問的な目的であろうと、古文書を借りるというのは重いこと。2026/06/08
Praesumptio cedit veritati
1
戦後の混乱期に、漁村文書を収集・整理し、資料館設立を目指す計画があったが、全国から大量の古文書を借用したものの、事業は打ち切り。その返却をするために各地を行脚する筆者の誠実さ、迎える人々の温かさ、そして返却の旅をすることで筆者の見解が更新されていく様が描かれる。同時に、戦後直後の漁村が変化する様や、古文書の保管や管理の難しさも示唆される。 エッセイであり読みやすい上、筆者の他の本で示される各見解が形成される背景を垣間見ることができる。若い頃に読んだが、改版を機に再び読んだ。若い頃以上に心が揺さぶられた。2026/05/22
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