内容説明
賭けに飛び込め! 運命を挑発しろ!
ガルシア=マルケスをはじめ数多の作家に影響を与えたラテンアメリカ文学ブームの先駆者にして、メキシコの国民的作家フアン・ルルフォ。
デビュー作『燃える平原』、不朽の名作『ペドロ・パラモ』に続く、その文学的終着点が、本邦初訳でついに登場!!
メキシコのとある田舎町。片腕の不自由なディオニシオ・ピンソンは、町の知らせを大声で触れ回るお触れ屋をささやかな生業として、病身の母と貧しく暮らしている。
ある夜、闘鶏で深手を負った一羽の軍鶏を譲り受けたところから、彼の人生は思いもよらぬ方向へと転がりはじめることとなる。
やがて息を吹き返した黄金の軍鶏は、闘鶏で勝ち続け、富と名声を彼にもたらす。
こうして町から町へと渡り歩き、賭けと歓声の中に生きる道を見出したディオニシオは、ある日、妖艶で抜け目のない巡業歌手ラ・カポネーラと出会う。世知に長け、男たちの欲と金のにおいを嗅ぎ分ける彼女と行動をともにして、彼は勝負の世界の裏側を知り、ますます運に身を委ねてゆくのであった。
欲望と勝利の陶酔、目に見えぬ運命の鎖に引きずられ、孤独な男が行き着く先は……。
巨星が放つ最後の閃光!
ガルシア=マルケスとカルロス・フエンテスの脚本によって映画化もされた、欲望と宿命の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
81
虚無にまみれた人生から渇きに囚われた欲望へ。そこに描かれた歓喜と破滅は主人公ディオニシオに運命づけられたものか。ルルフォの初邦訳作。映画のために書かれたものだそうで読み易く、場面が浮かんでくる。粗暴な空気に包まれた闘鶏場、情感たっぷりに場を魅了する歌姫、黄金の体を鋭く舞い躍らせ、羽を切り裂く軍鶏。それらは読み手をいっとき現実から離し、一夜の夢へと陶酔させるかのよう。乾いた目線の淡々とした語りは寓話の世界から逃れさせない。その先に待つものが明らかであっても。ラ・カポネーラ(姐御)の歌に出逢う運命は再び巡る。2026/06/19
メセニ
20
7/10。町の”お触れ屋”を生業とする主人公は、病に伏す母と貧しく暮らしている。片腕が不自由で、周りからは「役立たず」と言われている。よく通るその声を活かすには、町のあれやこれやを伝えてまわる仕事しかなかった。彼の運命を変えたのは、祭りで譲り受けた一羽の黄金の軍鶏だった。賭けの世界で富を得た彼は、一人の女と出会う…。『燃える平原』や『ペドロ・パラモ』のような作品を期待すると拍子抜けするが、シンプルな語り口からは土地の匂いが立ち上り、勝負の世界の真実を知った人間の陶酔と翻弄を感じた。後半は読み応えあった。2026/05/08
ズー
19
メキシコ感溢れる、とあるギャンブラーの話。とある女性の出現でその後がちょっとマジカルな感じに思える。痺れるラスト…!あとがきで二回も映画化(一回目はなんとガルシアマルケスが脚本!)。確かに映像的なストーリーかも。それによってマンネリ化していた著者の語り口が変わり、新たな傑作が生まれたのでは?というのも面白い。短いストーリーなのに輪廻も感じさせる壮大さ。2026/06/04
oyasumi
7
賭け事に興味のない自分には主人公ディオニシオへの共感は難しい。それでも読み終えると、メキシコという地の乾いた風にさらされていたような余韻が残る。 印象的なのは闘鶏の残酷さ。蹴爪にナイフをつけた鶏たちは、人間の欲望のために闘い傷つき死ぬ。でも、貧しくとも誠実に生きていたディオニシオも、運命という見えない賭けの舞台に乗せられ否応なしに変わっていく。鶏と人間、どちらが不幸なのか…。作者はその答えを教えてはくれない。2026/05/27
Takashi Takeuchi
5
ルルフォ3作目。『燃える平原』、『ペドロ・パラモ』のイメージで読み始めると肩透かし。すいすい読みやすい。それは映画化を想定して書かれた為か。127頁に凝縮されたドラマは映像を喚起する。ぜひ完成した映画(2作あるらしい)を観てイメージと比較したい。でも、ルルフォの独特の小説ならではの味わい深い文体を期待していた者には物足りなさもある。2026/05/23




