内容説明
あの人と見た桜。時を超え、わたしは曾祖母の秘密と出会った。
高校生の雅美は、亡くなった曾祖母の遺品である鏡台から、自分宛と思しき手紙と一冊の歌集を見つける。手紙に記されていたのは一首の短歌で、かつて雅美が大切な人と見た情景を彷彿とさせるものだった。冊子は作者不明の手製の歌集のようだ。なぜ曾祖母は、自分にこの手紙と歌集を残したのか? 雅美は友人の凜とともに、曾祖母の歌集の秘密を探り始めるが――。短歌を通じて人生が交錯する、切なく優しい記憶の物語。(特別収録:「ベッドひとつぶんの私たち」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayuri🍀
24
「彼の空のユンカース」「ベッドひとつぶんの私たち」二話収録。事前情報を全く入れずに読み始めたので、読了後は胸にズシンと響くものがあった。発端は、亡くなった曾祖母の鏡台に隠されていた一通の手紙と歌集。高校生の雅美は、友人の凛とともに曾祖母の歌集の秘密を探り始める。作中に登場する五・七・五・七・七の短歌の調べが少しずつ不穏さを帯びていき、物語の核心に触れた瞬間、一気に哀しみが押し寄せた。最後に読む「あとがき」で、その哀しみは更に深まる。二つ目の物語もとても良い。今、生きていることの奇跡に改めて感謝したくなる。2026/06/02
雪丸 風人
12
短歌のもつ特別な魅力が沁みる物語ですね。主人公は吹奏楽部を休部中の高校二年生。曾祖母の遺品から歌集と手紙を見つけた彼女が、運命に引き寄せられるように、それらの遺された意味を探し求めます。掘り起こされる意外な真実に胸を打たれました。親友とともにあらゆる手を打つなかで、疑問が少しずつ明るみになる筋書きには、ミステリを凌駕する魅力がありますね。せつなさに満ちた悲恋に触れて、平和への思いを強く刻むとともに、好きなことをして生きたかった普通の人々を絡め取った歴史の渦を憎悪しました。(対象年齢は13歳半以上かな?)2026/05/31
barabara
3
「ベッドひとつぶんの私たち」楽しく読めました。短歌に魅せられたのは私もです。行間から立ち昇る何かを逃すまいと、登場人物らと同じ様に読み解く時間も心地よかった。しかし現実では、こんな出会いは、やはりありそうでないものですね。2026/06/19
Hanna
3
短歌との関わりの物語。戦争のお話は、実在する方がいらっしゃったとのこと。こういう形で再び世に出ることができるという短歌の力。2026/06/05
Tamy
3
短歌の主宰者でつながるお話2篇。一つは亡くなった曽祖母の家の鏡台から見つかった彼女への手紙と手書きの歌集の謎解き。もう1篇は管理入院を余儀なくされた妊婦とその同室者たちの話。どちらも短歌がちりばりめられ、オンライン歌会に参加してみたくなる話でした。2026/05/30




