内容説明
“才能がない者のためにバンドがあって欲しい。
上手く言葉が出ない者のために歌があって欲しい。
そのどちらもロックが昇華して欲しい。”
吃音の作詞家が、最愛の親友へ贈る、最初で最後のラブレター
バンドで成功することを目指し、夢と現実の狭間を生きる、吃音症のバンドマン・月。太陽のような性格で天然だが、音楽の才能に溢れている親友のバンドマン・陽。
対照的な2人のバンドは、当初はどちらも華々しくデビューした。
しかし両者はその後、まったく違う道を歩んでいき……
夢は叶わなかったら不幸なのか。売れたら本当に幸せなのか。そんな想いの中で揺れ動きながらバンドマンとして進んだ先に2人が見たものとは。
吃音症でもある「LEGO BIG MORL」のギタリスト・タナカヒロキが描く、圧倒的青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hiace9000
104
バンドの作詞担当タナカヒロキさん、おそらく半自伝的"青春バンド"小説。吃音をもつバンドマン・月の一人称と内面語りで綴る全編は、トーキング・ロックさながら生み出すリリックがピックとなって直接読み手の心の琴線ならぬ弦を掻き鳴らし、時に爪弾き、読み手を深く共鳴させる。青春パンクロック推しのわたしとしては、抱きしめる孤独、掴みようのない夢や幸せの形と尺度を探し求める若さと足掻きが、もはや歌詞となって響いた。「あの歌に救われたの 続けててそれ以上は願わないよ」途中からずっと大好きな推しバンの曲の一節が聞こえていた。2026/07/29
おかだ
29
LEGO BIG MORLのヒロキさん著、バンドマンしか知らないセカイな小説。でもそこにあるのは、青臭いけれど普遍的な幸せを突き詰める物語だ。私は25年程、邦楽ロックバンド好きとして、惚れ込んだバンドの解散や活休をいくつも、飽きるほど見てきた。そんな人間が読んだら致命的なダメージを受けること必至な物語だった。特に…LEGOの曲をずっと愛してきた私は、正直直視するのも辛くて、息ができないくらい泣いてしまうページもあった。それでも音楽を続けてくれて、私を救い続けてくれてありがとうと言いたい。2026/08/13
Barasiratama
7
私はもう20年近くLEGO BIG MORLのファンなので、この本はどうしても物語として客観的には読めない。あ、この陽はメンバーの彼っぽいなとか、このエピソードは別のバンドの彼から聞いたことがあるなとか、彼女とのエピソードはどこまで本当なのだろうかとか…色々なことに思いを馳せながら読んでしまう。生と死を、光と影を、昼と夜の隙間を描いてきたバンドだから、現実と虚構の間をも自由に行ったり来たりできるのだろうか。本の中にリスナーはほぼ出てこないのに、自分も登場人物の気分で、これだからバンドマンは好きだと思った。2026/05/22
🧫
5
私が好きなバンドのお友達のバンドの方が小説を書いたらしい、程度の予備知識で。吃音のコラムを読んだことはあったけど、バンド自体のことはほとんど知らず合間に挟まれる歌詞が実際に出している曲だと4曲目のRayで初めて気づいた。実際にバイク事故に遭っていること、復帰後初ライブがflumpoolとの対バンだったことを調べて知って、どの辺りまでが事実で創作なのかな〜と気になった。バンドを続けて欲しいけどそれ以上に幸せであって欲しい、が刺さってしまうバンドオタクでした。フレッシュで読みやすく面白かった。曲も聴いてみる。2026/07/24
みやまつ
5
異なるバンドに属する陽と月、友人同士である二人のバンドマン人生が鮮烈かつ生々しく描かれる正にバンドマンによるバンドマン小説。途中、凄まじい青春劇だよな⁉︎とも思ったし、なんて泥臭くも切ないんだ!とも思ったし、終始、綺麗なことに逃げない主人公とどこかシニカルなのに等身大の希望を何度も感じさせてくれる文体が好ましかった。全編を通して対象的な二人がお互いに賭ける思いの強さが胸に迫る。要所要所挟み込まれる歌詞との融合も新鮮で、いつもより強く言葉を噛み締められた気がした。2026/06/05




