内容説明
ことばと社会は、どのように結びつき、互いを形づくるのか。社会学、人類学、言語学・コミュニケーション学、宗教学・文化学、社会心理学、教育社会学、ジェンダー研究・子ども研究など、ことばをめぐる全ての学知を横断的に接合し、アラブ・イスラーム圏とユダヤ世界、欧州と南北アメリカ、南アフリカや南太平洋を含む、世界各地に見られることばと社会の多様な関係を体系的に探究・提示する。言語人類学の泰斗による記念碑的著作。
目次
序
第1章社会学/社会言語学にとって階層とは何か――ラボヴ派社会言語学などに見られる連続的ダイグロシアの諸階層
第1節階層と階級――社会科学における階層研究とその批判
第1項 社会科学における階層研究:日本の教育社会学などを事例として
階層分類(職業分類)
職業威信スコア:職業に対するイーミックな認識
年齢(時間):加齢・時代・コーホート効果
階層研究:学歴に対して効果を持つ変数
アスピレーション、地位達成モデル、職業威信スコア
第2項 ラボヴ派社会言語学における階級、階層、ジェンダー、人種
ラボヴ派における「階級」と「階層」
古典的なラボヴ派の研究における「ジェンダー」の概念化とその批判
ラボヴ派に見られる(構造)機能主義的な「階級」理解とその批判:合意理論と葛藤理論
古典的なラボヴ派のサンプル抽出法における偏向:同質的範疇の措定と少数者の抑圧
階級と人種:イギリスとアメリカでのラボヴ派社会言語研究の比較
第2節アフリカ系アメリカ人(黒人)俗語英語とその社会言語学的分析
アフリカ系アメリカ人俗語英語:人種と言語
古典的ラボヴ派の記述に見られる本質主義的シェーマと人種主義的含意
アフリカ系アメリカ人俗語英語、その起源をめぐる葛藤:クレオリストと(ネオ)アングリシストとの対立とその超克の試み
言語変種に見られる言語構造的な統一性・一体性の欠如:世界諸英語(World Englishes)を事例として
言語変種の構造分析における決定性の欠如とその要因
第3節スタイル・シフト
社会言語学的ステレオタイプ
マーカーとインディケーター
社会言語学的調査法:マーカーとスタイル・シフト
書きことば、話しことば、そして言文一致体=標準語
社会言語学的パターン
過剰矯正、中間階級、発話のフォーマリティ
低出生率、中産階級、新マルサス主義
小括
第2章ジェンダーと――聖/俗なるものの言語
第1節ジェンダー、権力/権威、そしてアイデンティティの言語とその階層
ジェンダーと言語
調査者=インタヴュアーの属性とジェンダー、そして子ども研究:社会科学、批判性、コンテクスト依存性
広域伝播/ネットワークとジェンダー
ジェンダーとネットワーク、そして権力と象徴的権威:デトロイト郊外のハイスクールの事例
JocksとBurnoutsの対照性と非言語的社会指標:アイデンティティの記号論
第2節ユダヤ教、語用、ジェンダー指標
アメリカのユダヤ教徒、その言語使用とジェンダー指標
超正統派(ハレーディーム)、ハシド派(ハシディーム)、ハバド派、アメリカ第三世代のユダヤ人
超正統派の言語使用とイディッシュ語
ブルックリン、ボローパークのハシド派に見られる言語とジェンダー
「伝統的な慣習・文化の守護者としての女性」というイデオロギー:「文化」とジェンダー
アラビア語におけるジェンダー偏差:パレスチナ方言やヨルダン方言の事例
ダイグロシア、もしくは言語における階層性と政治:ギリシアの「カサレヴサ」と「デモティキ」
小括
第3章アラブ社会言語学――社会史のなかの言語
第1節導入
アラビア語社会言語学:概要
イスラエルのパレスチナ人、アシュケナジーム、ミズラヒーム:アラビア語とヘブライ語
セム語、咽頭音、社会指標性
…ほか



