内容説明
人形の声が聞こえる少女の不思議な成長譚
江戸の人形町を舞台にした今作は、オール讀物新人賞受賞作家・由原かのんさんの3冊目の著作となります。
魂が宿った人形たちの声が聞こえる不思議な力があるおりせ。人形師の父・貝助と弟・清太郎、継母のおすまと暮らしています。
おりせは小さいころから人形の声を聞くことができましたが、周囲からは理解されず、時に孤独を感じることもありました。
そんなおりせが気持ちを打ち明ける相手は、人形浄瑠璃の蝉丸を模した人形と、継母の亡き3歳の娘であるおちよの魂が宿った人形です。
人形に宿る思いに寄り添いながら、恋や友情、家族の絆を深めていくおりせの姿が、繊細かつ生き生きと描かれています。
そして年頃のおりせは、嫁ぐのか、婿を取るのか、あるいは人形を作る職人を目指すのか、決断を迫られます。恋愛は苦手と感じているおりせが選ぶ将来とは…。
繊細な筆致で描かれる人間模様と、時代小説ならではの風情が楽しめる『おりせ人形帖』。時代小説ファンはもちろん、ファンタジーや成長譚がお好きな方にもお読みいただきたい一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
65
「蛤屋」という人形屋。おりせの父親は誂えの多い人形を作る名人。訳ありのおちよと言う名の人形に加えて人形操りで一目惚れした蝉丸を父に頼み作ってもらう。不思議なことに2体の人形と意思疎通のできるおりせ。かつて父が作った人形を携えて店に訪れるいろんな客。憎悪に燃えた女の魂もあれば赤子の中に籠った想い。理由があれば原因もあり、それを解く方法も必ずある。人形師にあこがれるおりせと、弟との葛藤。男なんてと言っていたおりせの心にいつの間にか芽生える恋心。知らず知らずの成長におりせの人形たちも…。あっ、首も登場した。2026/06/09
がらくたどん
45
人気人形師の父が造った人形と会話ができる幼いおりせ。産後の病で母を亡くし結婚・出産という「女の道」がちょっと怖い少女のおりせ。質実清廉な継母に小太刀と和歌を教わり人情の襞を理解し始めた娘のおりせ。そんなおりせが彼女の成長をゆっくり見守る二体の人形に助けられ、拵え直しで持ち込まれる父の造った人形に宿る彼岸の魂と現の人の思いとの絡まる縺れを懸命に解く切なくも暖かな事件帖。昔語りの逸話のように時の流れを小気味よく飛ばし一作の中に技能維持の残酷と継承の光明までを含ませるが、基本明るく柔らかな筆致がとても心地よい♪2026/06/11
もぐもぐ
3
初読み作家さん。 人形師の家に生まれ幼いころより人形の声が聞こえるおりせ。 人形師になりたいと望むが父親に「女は人形師になれない」と反対されている。 しかし出入りの職人が「許す許さないの前に自分でなれないと思い込んでいるのでは」と言ったのが印象に残った。2026/06/02




