内容説明
政治腐敗が進み、都を取り巻く山に鬼が跋扈していた平安中期。尚侍は鬼の首領・朱天童子と出会い交流を深めるが、近年の禍を全て鬼のせいと断じた帝は朱天の討伐を命じていた。人を脅かすものの正体は本当に鬼なのか。正義は、悪は、絶対なのか。価値観のゆらぐ今こそ問いたい、日本ファンタジーノベル大賞2026受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
55
平安中期の酒呑童子伝承で一山当てたい江戸期の本屋が御伽噺に詳しいと噂の老爺に話を聴きに行く所から始まる和風ファンタジー。鬼と人とが混在する荒廃した京の都で酒浸りの「麗景殿の内侍」と鬼童の「朱天」が出会う。「大弼宮」の誘惑。姿を消す後宮の姫たち。大江山での鬼軍団対頼光四天王軍の激戦。そして朝廷に蠢く怨念と最後に一人輝く真の鬼。まるで生の大江山合戦を知っていそうな語り手の老爺の正体まで一気に読ませる。名称を暈しているが、一条帝から三条帝に向かう時期の道長の異母妹藤原綏子と源頼定の密通事件の超解釈が楽しかった♪2026/08/05
信兵衛
25
鬼たちと朝廷側、その両者の戦いだけでも十分以上に読み応えがありますが、思わぬ存在まで登場し、ヤラレタ!という痛快感あり。 伝説の面白さに、戦いの興奮、そして予想外の驚き、そして登場するキャラクターの魅力(皆を引っかき回している感ある内侍や老・安倍晴明を含む)と、多様な面白さが味わえる本作ですが、“鬼”とは何か?という問い掛けがまた心憎い。2026/07/26
本の蟲
13
2026年日本ファンタジーノベル大賞作品。江戸時代の版元による御伽草子の蒐集から、平安の都。酒呑童子の異聞奇譚が始まる流れにはワクワクした。ただ、冒頭と結末の仕掛け以外には特に残るものなし。鬼や貴族の存在。登場人物の心情と行動が最後まで腑に落ちない。かなり期待して読んだのだが、伝奇物としても歴史物としても中途半端で、審査員を務めた恩田陸、森見登美彦デビュー作のようなインパクト。次作必ず読むと思わせる吸引力はなかった2026/07/20
ときわ
9
私が知ってる 酒呑童子とはちょっと字が違う?酒呑じゃなくて朱天。茨木や頼光などおなじみの名前の鬼や武士が入り乱れて血が飛び散るようなものすごい話。 最初 江戸時代らしいところから始まり、所々で それが はさまる不自然さにそんな構成 じゃなくてもいいのにと思って 読んでいた。 ところが 最後の方でええ〜!そういう風に繋がってきていたわけとびっくりしながら納得。確かにファンタジーノベルだ。2026/08/30
BECHA☆
7
鬼と共存する江戸の町で売れない草子本作家の清右衛門が御伽草子を纏めることを思いつき、朱天童子譚を聴きに京を訪れる。老翁の語る朱天童子・茨木童子ら鬼の日々は決して人を害するものではないが、人間の身勝手が彼らを追い詰める。なんなら鬼の方が誠が有るようで麗景殿の内侍が惹かれるのは判る気がする。2026/08/16
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