内容説明
『罪の声』『存在のすべてを』――エンタメの最前線を走る著者の出発点。
笑いと涙と秘めたる思いがつまった、すべて単行本未収録の文庫オリジナル!
彼らが自分よりうんと大人であることを思い知った――「小さい上司」
人生の天秤は必ず未来へ傾く――「鈍い火」
でも私は未だ、仮縫いの分際なのだ――「仮縫い」
もの書き目指すんやったら、常に人の胸の内に答えを求めろ――「起点」
いつでも、ここから、名著に会える
この面白さで550円! STORY IN POCKET
目次
小さい上司
鈍い火
仮縫い
起点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
133
凄い!500円(税別)値段もだが4話とも読ませるのが凄い!『小さい上司』こんな上司は嫌だな。ストレス溜まっちゃうって読み進んだ私はもっと小さい読者だった。次の『鈍い火』事件の根底にある人間関係は闇。だが助けて助けられたりするから面白い。本当に助けられたのは・・3話目『仮縫い』おバカな仲間達の高校時代に笑っていたら、最後は泣かされるというね。ラストは表題作超短編。ご存知『罪の声』の五十年後の世界。作者とその孫が描かれて未来はこうなのかもと思わされる。お得感満載の読み応え。2026/06/04
タイ子
74
「STORY IN POCKET」(550円)。たった200頁にも満たないのに満足させてくれる4つの短編集。タイトルの「起点」の発想がいい。「罪の声」出版から50年後の近未来の塩田さんと孫の視点で描く世界。たとえ何十年経とうと、過去の事を知ろうとする者がいる限りこの世は引き継がれていくんだなって感じる。「仮縫い」も良かった。青春時代を共に過ごした5人の男たち。懐かしき初恋の時代と、年を経た今を交互に描きながら、思いがけないある慶事の場で語られる話に思わず胸がジワリと熱くなる。2026/05/19
ケンイチミズバ
63
人の心の闇を解き明かすことができない裁判に意味はない。と私も思う。ならば復讐しかないと思うのは短絡的すぎるわけでもなく、人は愚かでそれも普通の心理だと思う。男は元俳優で深く反省している様子を演じるなどお手の物だった。塩田氏は元新聞記者で作中でも記者が被疑者の周囲から聞き込みを始め真実を辿る。冒頭の短編ももおそらく取材先の地方の行政職員にこんな人がいたのかもと想像してしまう。ダメなのに憎めない厄介な上司。このダメさは、まだ効率やコストマネジメントが問われない時代の地方自治体そのものの、あの頃のダメさだわ。2026/06/16
がらくたどん
57
講談社文庫55周年記念のワンコイン文庫企画。文庫と言えどもお値段が張るようになって最近はしばし熟考していまう。だから書店の棚で「おっ」と眺めてふらりとお財布を開けられるこの企画は、内容の面白さももちろんだが久々にスキップするみたいに本を買うという楽しさが味わえてとても嬉しかった。しかも本書は大好きな塩田さんの初期短編アラカルト。昭和喜劇みたいな哀愁漂う滑稽噺・悪意の闇と復讐の闇がぶつかるサスペンス・青春の一途が疲れた中年の今を照らす物語。そして表題の掌編は時代を見つめ語る者の覚悟と願いを閉じ込めた。良品!2026/06/11
ぼっちゃん
46
550円で楽しめるSTORY IN POCKETシリーズ第3弾。短編4編。ミステリーではないが、あきれるほどせこい上司と新入社員の物語『小さい上司』、テーラーの娘を好きになったおバカな高校生5人の物語『仮縫い』が面白かった。50年前に書いた『声の罪』の小説のことを聞きに来る孫との話の『起点』は発想が面白い。2026/05/23
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