内容説明
5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで“リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住む人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。誰もが抱く日々の悩みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。心がじんわりほどける、再生の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
背番号10@せばてん。
77
そうだ、私はいつも、不安なのだ ──。自らの傷みと同じ場所に触るとその傷みが癒える、巣鴨の〈とげぬき地蔵〉もとい、日の出公園のアニマルライド。人呼んで、リカバリー・カバヒコ。それはビヨヨ~ンと揺れることもなく、足掛けもない、昭和の硬いカタマリ。そう、カバヒコは何もしない。各話の主役たちは、彼を見つめ、彼に願い、やがて再生の道を歩み始めます。ただ私には、どの挿話も綺麗すぎて、正直やや物足りません。安心安全の良書と思いつつ、最終話でもう一捻り、新たなディスカバリーが欲しかったなと…カバだけに。 ⇒2026/07/02
新田新一
76
分譲マンションの近くにある公園にあるカバの遊具が、人の心を癒していくお話です。巻末にこの本のアイディアが生まれた時のことが書かれており、興味深かったです。駄洒落からできたことが分かり、青山さんのユーモアのセンスに苦笑い。最終話が一番心に残り、ほろりとしました。意地を張り合っていた母と息子が仲直りします。このような意地の張り合いは珍しいことではありません。体の不調を治すカバヒコの始まりも分かります。物語全体から、人はどんなに苦しい目にあっても立ち直れるという作者の信念が伝わってきて、勇気づけられました。2026/06/28
RRR
73
公園にポツンと存在しているアニマルライド・カバヒコ。 悪い幹部を浸せば途端に傷が癒える、まるでお伽噺的寓話であるが、人に寄り添う気持ちを持たなくては、と強く思いました。その話の発端になった少年の母の在り方について、涙が止まりませんでした。寂しいだろうと思う少年に、とっさに思い付いた作り話が後に拡散される。繋がっているんだな、とさえ思い、僕の胸に仄かな明かりが燈り、胸がジンと温かくなり、涙が止まりませんでした。僕はこういう人の善意が連鎖する物語に、心底弱いのです。2026/05/15
ぼっちゃん
62
【2024年本屋大賞7位作品】文庫で再読。自分の直したい部分を公園の古びた遊具カバヒコの同じところを触れると回復する5編の短編集。不思議な力が働くわけでなく、皆自分で問題に気づき回復していく物語であるが、5話の母親との関係修復の『和彦の目』が良かった。著者のメッセージしおりが付いていたが、メッセージは”リカバリーの力は誰にもちゃんと備わっている。”だった。2026/07/13
カブ
59
青山美智子氏の小説はいつも心がほっこりする。今回も新築分譲マンションの近くの日出公園にいる、「リカバリー・カバヒコ」に会ってみたくなる、癒し系のお話。読んで良かった。2026/06/12




