内容説明
※紙版とはコンテンツが一部異なります。
掲載されていないページ、記事、写真があります。
隠された激情を閉じ込めた静寂の中にある、あまりに繊細で儚く、そしてどこまでも深い心の叫び。人間の普遍的な感情の機微を見事なまでに描き切った魚喃作品の数々。類まれなる才能で多くの熱狂的なファンを惹きつけた作品には、多くの謎が残されていた。物語には、いつも「読者が腑に落ちない何か」が存在し、読者は、それぞれの作品の謎解きに翻弄され、結末のからくりへの回答を切望した。しかしながら、謎解きの答えを求めるファンに対し、魚喃キリコは沈黙を続けた。長い時が過ぎ、ようやく謎解きの時を迎え刊行されたのが「魚喃キリコ 作品解説集」だ。過去に単行本化された8作品について、魚喃キリコ自身の言葉で、物語の伏線や当時の心情を交えながら真実が詳細に解説されていく。そしてインタビューでは、休筆期間についてもその真実が初めて明かされる。
また、交流が深かった漫画家・高野文子と作家・藤沢周との過去の対談も抜粋して再録。投稿時代のエピソードや創作時の独特な視点など、伝説となった魚喃キリコという天才アーティストを知る上で、見逃すことができない貴重な内容が盛り込まれている。
魚喃キリコが「なにを愛してきたか。」ーーその核心にも迫る、必携の一冊。
(内容は変更になる場合があります)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
27
過去作の新装版刊行を機に、魚喃キリコが自作を振り返り語る。改めて本人の口から語られると、彼女の漫画のほとんどが実体験を元に描かれていることを再確認させられた。なので、自作を振り返る行為は、自身の半生を振り返る行為となる。「感情のこもった漫画を描くためにわざわざ辛いことに首を突っ込んだり、とことんバカをやったり、自分を痛めつける」それだけ体験に依存しながら、しかし彼女はこうも言う。「あたしは実在の人が言ったことを漫画で使ったことが、おそらくないはずです」と。(つづく)2020/04/07
Bo-he-mian
16
岡崎京子の不在を補うように'90年代半ばに登場した魚喃キリコは、自分にとって間違いなく特別な存在だった。画力のみならず、その生々しいばかりの感情描写と表現力は当時としても群を抜いていて、某映画監督が「これは敵わないなぁ」と言っていたのに深く頷いたものだった。それほど彼女の作品は漫画という表現媒体すら越境したオンリーワンの輝きがあった。しかし2000年代の後半頃には寡作になり、いつの間にか「消えた漫画家」になっていた。そのナナナンが10年以上の沈黙を破り、作品と漫画家人生を振り返り自ら語った本である。2020/04/26
Shimaneko
10
こんなに饒舌な人だったんだね、という素朴な驚きを覚えつつ、「やり切ったから」とスパッと次へシフトする潔さは、本人の描いたキャラともかぶって素敵。イラストレーター志望とかじゃなく、最初から漫画が描きたかったってのは割と意外。編集者のセンスによる力も大と思われる作家なので、育ての親的な担当が高野文子の夫君と知り納得。その高野文子との対談(2002年ユリイカの特集)も興味深く、「漫画なんてあぶく」という言葉は、看護師というキャリアを持ちながら唯一無二の傑作を世に送り続けてきた高野御大ならではと思われ。。。2020/07/24
RYOyan
9
本当に描くこと全てが実体験から吐き出されていたのだなぁ。大胆な構成でぐっと引き込まれる作品の数々。そのカットひとつひとつに込められた細かな意図が見えてくると、漫画表現の奥深さにハッとさせられた。あの線が全てを語っているのだなぁー。2020/07/05
フロム
2
90後半から00年代初頭活躍した魚喃キリコ、安野モヨコ、安彦麻里恵、園山二美、ベキラマ、綺羅星の如くいた成人の恋愛を描いてた漫画家はどこに行ってしまったのだ?恋愛と言うのはやはり若さの特権なんだろうな。魚喃キリコは自己承認欲求と出力の作品出力の狭間で苦しんでいたのではないかな。高野文子との対談が魚喃キリコの生きづらさやクリエイターとしての限界を表していて読んでて悲しい。2026/01/22
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