内容説明
1930年代の朝鮮モダニズム文学を率いた朴泰遠の自伝的都市小説を、詩人・李箱による挿絵とともに待望の書籍化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
31
「朝鮮モダニズム文学を代表する不朽の名作」の帯に惹かれて読んだ。1934年の作品。 作家の仇甫氏が昼間家を出て夜中に家に帰ってくるまでの長い散歩の時間を描いた物語で、現在と過去を織り交ぜて彼の頭に浮かんだ出来事や考えたこと、感じたことが語られている。 友人を求めるわりに友人を前にして過去の恋愛を思い出してにやにやしたり喫茶店で子犬に吠えられたり生活が苦しそうな女性に同情したりしながら、母親の待つ家に帰る。何もしない人と思いきや「明日から創作するよ」。想像していたよりずっとモダンで自由な作品で驚いた。2026/06/11
電灯魚
1
川辺の風景もそうだったが、素朴な市民の描写と情が温かい。「意識の流れ」と言うのか、土地や時間に縛られない語りは楽しめた。私は目前の光景から過去の出来事に思いを馳せることをよく行う。その時々で思いついたことについて考えるので、たまに脈絡が無く、掴みづらいがいつもしていることなので理解しやすい。この語りが、地に足ついた高尚すぎない市井の人々のための「ほんとうにいい小説」という印象を演出しているように思える。2026/05/28
19番ホール
0
朝鮮近代文学の名作として韓国で根強い人気を持つ、日常さんぽ小説。かなりよかった。つげ義春のエッセイものが好きなひとは気に入りそう。プータローとして母に心配される小説家は、友とともに、1930年代の京城/ソウルを散歩する。劇的な出来事も強烈な思弁も描かれないが、ゆるやかに過ぎていく時間とありふれた街の景色が閉じ込められている。相棒の李箱による版画も素敵。2026/04/22




