内容説明
難解な中国古典の含蓄深い精神を現代に伝える名手の著者が、青年時代より敬愛し、研究しつづけてきた司馬遷の名著『史記』の精髄を展開し、その歴史観に近代的な照明をあたえて解釈をほどこす。
古代中国の群像は、宮刑の屈辱に堪えてまで歴史家としての使命に徹した司馬遷によって不朽となった。
竹簡百三十巻の大著を書いた人、書かれた人の精神は、新鮮な感動を伴って再現される。
文字を大きく読みやすくして改版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
23
『史記』の読みどころの翻訳+貝塚流の解説。チョイスされてる箇所は伯夷・蘇秦・商君・孟嘗君列伝や始皇・項羽・高祖本紀など、教科書的におなじみの部分が中心だが、それだけに『史記』の手頃な導入になる。文章も読ませる。初版から干支がひとめぐりしてしまったが、最新の知見だとかあまり変なことも書いてないので史記入門として今でも通用する。2026/04/28
よっち
22
司馬遷が宮刑の屈辱を耐え抜き、歴史家としての使命を果たした壮絶な生涯から始まる『史記』のエッセンスをコンパクトにまとめた1冊。李陵を弁護したことで武帝の逆鱗に触れ、宮刑という凄絶な屈辱を受けた司馬遷の人生に迫り、屈辱に耐えながら大著を編み上げた精神的な背景、時代の英雄から群像劇、遊侠列伝や酷吏列伝まで、当時の中国人の思想や含蓄深い精神を者の分かりやすい訳文で紹介するだけでなく、司馬遷の人となりや歴史観、成敗の理を冷徹に見つめながら解説していて、原著は1963年刊行と60年以上経過しても色褪せない1冊です。2026/06/05
電羊齋
11
『史記』の読みどころを紹介した本。まず導入部分として『漢書』・『文選』所収の「任少卿に報ずるの書」を取り上げて司馬遷その人とその思想を紹介し、伯夷列伝で司馬遷の歴史に対する考え方を述べ、その上で蘇秦・商鞅・孟嘗君ら戦国四君・始皇帝・項羽と劉邦の列伝・本紀を紹介していく。そして司馬遷にとっての現代史である武帝期も含まれる遊侠列伝・酷吏列伝なども興味深い。解説と翻訳が非常に面白く、手堅く、文章にも味がある。1963年の原書出版から60年以上経つが、今でも『史記』のオーソドックスな入門書として通用する。2026/05/16
CTC
8
63年中公新書(04年75版、本年4月に改版)。著者は中国古代史の泰斗、文化勲章受章者(湯川秀樹の次兄)。 本書は司馬遷が知友任安に宛てた“任少卿に報ずるの書”の記述を入口にして、司馬遷の思惑を辿り『史記』の世界へと読者を誘うもの。大胆な意訳、解釈で内容の面白さだけでなく、成立や構成の妙を際立たせる。司馬遷が宮刑に遭ったのちに『史記』を完成させたことや、多くの列伝の内容はものの本で親しんできたわけだが…現物を読んでみたい、同じ形式の『大日本史』も読んでみたいとまで思わせられたのは初めて。さすがの名著。2026/05/15
ふみりな
1
史記の現代語訳版かと思い読んだが、著者の史記の記述や司馬遷自身に対する思いが随分入っており、おもしろい。60年以上にわたり版を重ねて読みつがれただけのことはある著作と思う。2026/05/31
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