中公新書<br> 日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

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中公新書
日米密約史 核、朝鮮有事、沖縄をめぐる裏交渉

  • 著者名:信夫隆司【著】
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  • 中央公論新社(2026/04発売)
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  • ISBN:9784121029041

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内容説明

戦後、日米政府間で誰にも知られず交わされた密約。
政府首脳だけが把握し、日米安保のかげで、両国間の構造に深く組み込まれてきた。
①米兵の裁判権放棄、②日本への核持ち込み、③基地からの米軍の自由な出撃、④沖縄への核持ち込みという四つの密約の正体とは何か。
なぜ密約が生まれ、日本に何をもたらしたか。
米国側の史料・新事実を踏まえ、裏交渉の全容を解明。
ヴェールを剥ぎとり、対米依存の真相に光を当てる。


【目次】
まえがき
序 章 なぜ密約が交わされてきたのか
「表」の条約・「裏」の密約  密約とは何か  なぜ密約は問題になるのか  本書の目的と方法  本書の構成
第1章 なぜ米兵を裁けないのか――刑事裁判権放棄密約の実態
1 刑事裁判権の原理
旗国法原理  領域主権論  NATO軍地位協定
2 日米行政協定の改定
日米の主張  交渉開始  解決の糸口  津田陳述
3 密約の成立
津田陳述の密約性  オランダ方式・ドイツ方式  密約の実務
4 密約の検証
津田陳述の非公表性  統計データによる起訴率  オランダ・ドイツの裁判権放棄事例  刑事裁判権放棄の透明性の確保

第2章 日本への核持ち込み――一九六〇年核持ち込み密約
1 米国の核政策・日本の非核政策 
米国の核保有数の急増  アイゼンハワー政権のニュールック政策  NCND政策  重光・アリソン口頭了解
2 安保改定の舞台裏
岸首相の訪米(1957年6月)  藤山外相の訪米(1958年9月)  米国の核戦略  フォーミュラ案
3 秘密交渉の内幕
岸・ハーター交換公文  フォーミュラをめぐる日米交渉  藤山外相の口頭了解  秘密了解をめぐる攻防  日本側の譲歩  「討議の記録」
4 対米依存構造
密約調査と外務省報告書  「東郷メモ」  非核二・五原則  核持ち込み密約

第3章 米軍が自由に出撃するために――一九六〇年朝鮮議事録
1 国連軍と日本
「国連軍」の創設  「吉田・アチソン交換公文」  国連軍と戦闘作戦行動
2 国連軍と事前協議制度
「吉田・アチソン交換公文」の効力  日本案の内容  日本案への反応  統合参謀本部(JCS)の意見  朝鮮半島有事における例外規定
3 密約締結の真相
朝鮮半島有事の検討と米側の要請  日本側の対応  「好意的考慮案」  表向きと裏の取り決めの二重構造
4 朝鮮議事録
吉田・アチソン交換公文等に関する交換公文  朝鮮議事録  朝鮮議事録への署名  「事前協議なき出撃」  事前協議制度の形骸化


第4章 沖縄返還と基地の自由使用――朝鮮議事録の行方
1 沖縄返還への道のり
「潜在主権」  ブルースカイ政策  ハルペリンとスナイダー  密使・若泉敬  佐藤・ジョンソン会談(1967年11月)
2 沖縄返還の対処方針
「核抜き・本土並み」  ニクソン政権下のNSC  NSSM5号  NSDM13号
3 作戦使用と事前協議
愛知・ロジャーズ会談(1969年6月)  共同声明抜粋案と総理の一方的発言案  米側共同声明案  韓国・台湾・ベトナム
4 共同声明・総理の一方的発言
安保条約の原則  韓国条項  台湾条項  ベトナム条項  朝鮮議事録の存続

第5章 沖縄への核持ち込み――一九六九年沖縄核持ち込み密約
1 沖縄返還交渉と核問題
日米の立場  第二次日本案  苦悩する佐藤首相  「会談録」  日本側最終打合せ
2 密使・若泉敬の再起用 
政治的ホットライン  佐藤首相の曖昧な返答  繊維問題  スタンズ・ペーパー  ホイーラー・ペーパー
3 核抜き交渉 
佐藤首相案と若泉案  手続きに関する申し合わせ(シナリオ)  「核抜き」合意
4 核と繊維 
合意議事録草案  草案の確定  合意議事録への署名  難航する繊維問題  軍部の説得

終 章 密約が交わされる構造と深層
密約の特徴  密約の残した影響  密約が明らかにした課題  
密約の教訓  日米密約の根源

あとがき / 密約資料 / 参考資料
日米密約史 関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

146
1950-70年における日米交渉の表と裏の二重構造を読み解く。①刑事裁判権放棄(津田實刑事局総務課長による実務協議)、②核持ち込み(非核2.5原則)、③朝鮮半島有事の出撃(密使若泉敬国際政治学者)、④沖縄返還における核兵器·繊維問題。今も変わらない日米間の非対称性、日本が抱える従属的独立がこうして構造化されてきた。2026/06/14

skunk_c

76
刑事裁判から核持ち込みまでの、戦後の安保体制の中で交わされてきた密約を、丁寧な日米両国の資料渉猟によってコンパクトかつ必要十分にまとめ上げた労作。直筆の写真や密約自体の資料もきちんと紹介されている。自国の安全保障をアメリカに依存しているが故の、自国の主権維持とアメリカ軍の活動の自由との間で、短期的な最適解を求めた結果が密約という整理。著者は密約を必要悪とは見なさず、長期的に見れば対米依存という構造の生み出した必然と整理する。この問題を考える基本図書だ。やや残念なのは日本の「人質司法」への言及がないこと。2026/05/30

しまたる

5
日米安保関係の主要なテーマにはどこかしらに必ず密約が絡んでいると再認識させる本。軍事力が物を言う近代とは違って現代の外交に関する相当な知識が常識として備わっていないとすんなり読むのは難しい。ここまで丁寧に交渉過程を追っているため密約は仕方ないと現状を消極的にでも肯定しそうな筆者が密約のリスクを利点以上に強調していたのが意外だった。2026/06/15

コブタ

4
戦後の日本が米国を後ろ盾に国際舞台に立つ途上で交わされた表に現れない密約。本書では4件の密約について経過と結果が述べられているが、大小合わせてまだまだ有るだろうと思う。外交と密約(裏取引)は大きな課題になればなるほど交わされる事象ではなかろうか。2026/05/26

KW

1
非核三原則は守られてきたのか?沖縄での米兵犯罪を捌けないその背景に密約が交わされてたことを明らかにする本書。詰まるところ、米国の武力に依存しないとやっていけない一方で、国民への体裁を保つには日本は密約として残したくない、アメリカは文書に残したいというせめぎ合いの中で落とし所として行わざるを得なかった側面もあるのだろう。 やはり武力、エネルギーなど安全保障のテーマは一生考えないといけない。平和と思ってる裏側で実は、という話は多々あるのだろう。しかし密約は結局民主主義の信頼を失わせてしまう。2026/05/09

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