内容説明
植民地時代の対日協力者で「売国奴」とされた親日派。
独立後の韓国は「反民族行為処罰法」を制定し多数検挙するが、反日闘士だった初代大統領・李承晩は事実上廃案にする。国家機能維持のためには親日派の協力が必要であり実利を取ったのだ。そのため戦後も政治や軍の中枢を親日派は占め続けた。
だが民主化後、親日派への批判が始まる。21世紀以降は、政治がその清算を強く求め、「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」を制定、民間でも『親日人名辞典』アプリが配信されるなど、子孫を含めた糾弾が続く。しかし、その内実は現代政治に強く影響され、「政治カード」として大きく変質している。
一見すると明確な利益が見出せない問題に、なぜ韓国は1945年の「解放」から80年にわたって莫大な労力を割いてきたのだろうか。親日派から描く韓国近現代史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
27
「漢奸」と似たようなニュアンスの「親日派」だが、実態は複雑であり、進んで協力した者ばかりではなかった。もちろん日本の統治が無罪とは言っていないが。(なお戦時下においてはそもそも抵抗事態が違法行為となった。)日本の敗戦後、政府の中枢に多いのも、行政等をしっかりできる人材がバリバリの独立運動家にはいなかったからである。民主化後は保革共に相手を叩くイデオロギーとなったが、認定基準も曖昧な上、肝心の日本の事をあまり問題にしているわけではないらしい。2026/04/23
おかむら
20
韓国近現代史を「親日派」をキーワードに読み解く。植民地時代に日本に協力した政治家資本家地主官僚警官文化人等の人々は「売国奴」「親日派」と呼ばれ戦後は糾弾されると思いきや…。現政権まで続く親日派の影響力通史。「独立運動をすれば3代が滅び親日をすれば3代が栄える」と言われる皮肉な現象。途中までは韓国の人名が似たようなの多くてなかなか読みづらかったけど、やっぱり李承晩とか朴正煕とか知ってる人が出始めてからはぐんぐん読めた! 大好きな韓国の映画(現代史モノ)を観る時の理解の助けになりそうでありがたいわ。2026/06/10
nishiyan
15
植民地時代の対日協力者で「売国奴」とされる親日派を通して描く韓国現代史。そもそも親日派とは何ぞやというところが明示されたのはよかった。大韓民国成立とともに親日派の清算へと動くものの、北朝鮮並びに国内の共産主義者の脅威が政界や軍で親日派(朝鮮総督府官僚、日本軍士官経験者)を要職で起用せざるを得なかったというのは興味深い。親日派が保守派と同義化するのは、朴正煕以降の権威主義に由来するというのが知れたのも収穫だった。保守派と進歩派の駆け引きの道具となった親日派という言葉が清算される日はいつになるのだろうか。2026/05/20
オサム兄ぃ
9
本書が扱う「親日派」とは、韓国併合に協力した「売国奴」、植民地支配を協力した「対日協力者」、その中で民族に多大な被害を与えた「民族反逆者」を指す。同じ東アジアの漢字文化圏なのでややこしいが、親善友好とは異なる。「独立運動をすれば三代が滅び、親日をすれば三代が栄える」と言われる不条理は、解放後も長く正されなかったのは何故か。言葉の意味が拡散して、政争の具となっている現代政治までの160年の歴史を、圧倒的情報の量と、説得力ある分析で描き出す。日韓近現代史を語る際には必ず参照される、定番の本になることだろう。2026/06/06
CTC
8
4月の中公新書新刊。著者は朝鮮近代史専攻の九大院准教授。“親日派”は半島では“漢奸”に相当する売国奴と同等の言葉であるが、現在は韓国国内進歩派による保守派批判の政治用語と化して「もはや日本とほとんど関係しない」。我々のイメージする意味合いとは全く異なる“親日派”の実際と歴史清算の難しさをみていく。半島の政治状況や民心の在りどころを殆ど知らない私にとっては、1905年の第二次日韓協約以後、特に戦後の半島(ほぼ韓国)の政治的状況の変遷をざっくり掴むのにうってつけのテキストで大変判りやすかった。良書である。 2026/06/13
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