内容説明
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
19
3年間をともに過ごしたのに、孤高の女子学生と理解し合えないまま二度と会えないと思い至った寮生たちが、独自に事件を調べ始める受賞作ほか、5つの謎解きを収録した連作短編集。街頭インタビューが炎上した姉を救う依頼に挑む観察力に優れた少年と意外な結末、ファンに告白されたお笑い芸人の成功と皮肉な現実、喧嘩したまま亡くなった祖父と浪人生の心残り、サッカー部の部室が荒らされた事件を解決する敏感探偵など、身近な謎を解き明かすだけではなく人間関係の繊細な機微も描かれていて、若者特有の強がりと不安の描写が光る青春小説でした。2026/05/28
ツバサ
13
久しぶりに良い短編集に出会えたなと。謎を追いかけていくと未熟さを痛感したり、他者の価値観、倫理に触れる。そこの気持ちを描かれていて各話読み終えると登場人物の今後に想いを馳せてしまいます。回収しないとタイトルにあるが。いつ回収されるのかされないのかが人生の面白さだと思った。2026/06/02
huraki
9
数十年に一度の部分日食の日、同じ学生寮に住む女子学生が亡くなる。不審に思った主人公たちが事件を調べる「ルナティック・レトリーバー」を含む短編集。謎を追いかけ見えてくる真相に絡む動機や心情は複雑でどこかほろ苦い。「街頭インタビュー」が特にお気に入りだ。2026/06/06
Urmnaf
5
ノン・シリーズの短編が5編、日常の謎系の学園ものから密室殺人まで、いずれも端正なパズラー。表題作は存在しないけど、本格推理へのアンチテーゼが含まれる。本格といわれるものは過不足なく回収してほしいしね。でも、これはしっかりしたミステリで、何とも複雑な読後感。5編のうち2編は既読。でも初出は「書き下ろし」と。「書き下ろし」とは?(単行本時に書き下ろしたもの、という意味らしい。)2026/06/17
優さん@はいカード
3
ミステリーズ新人賞受賞作を含む短編集。 SNS炎上、蛙化など時事テーマを取り入れた話も多い中で、どれもキチンと本格推理。注目は「ぼくらは回収しない」というタイトル。この題名の作品は無いのだが、読了するとタイトルの美しさを感じる。 そう考えると5作品のバランスといい、実に考え抜かれたこだわりの物語集のように感じる(語り口が柔らかいうえ、冒頭の「街頭インタビュー」「カエル殺し」のさらに一段階の展開が見事で、完全にやられた。僕好み)2026/04/18




