エクス・リブリス<br> ケアする心

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エクス・リブリス
ケアする心

  • ISBN:9784560090992

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内容説明

本邦初訳、韓国発の衝撃の短篇小説集!
純度100%のケア文学

韓国社会と向き合った優れた作品に贈られるシン・ドンヨプ文学賞を受賞している女性作家による注目の短篇小説集。祖母の看病をする長男の嫁、育休中の母親、同い年の子をもつママ友、認知症の父を施設に預けている専業主婦の女性など、収録する10篇の主人公はすべて女性。ワンオペ育児や介護など、家族のケアに時間と労力を捧げる人々がケアされない日常の中で、不安、孤独、嫌悪感、愛着と憎しみにまみれながら静かに奮闘し、どんでん返しが待ち受ける――。
ケアする人が抱える不安や、繊細な感情の揺れを掬い上げ、ケアそのものを取り巻く社会の構造的な問題や矛盾も浮き彫りにする本作は日本の多くの読者に共感と衝撃を持って受け止められるだろう。
「ヨンジュの半分」:かつて同期だったヨンジュは息子を3歳で亡くしていた。「私」は育休中に子どもと出かけた公園で偶然ヨンジュと再会する。頻繁に会うようになったヨンジュの存在がワンオペ育児の唯一の息抜きになっていたが、ある日、ヨンジュが子どもの面倒を見てくれていた時に、死んだ子の名前で子どもを呼んでいる場面に出くわす……。
「ケアする心」:八か月の娘を抱えたミヨンは、職場復帰を前にベビーシッターを探すが、信頼できそうな人はなかなか見つからない。そんな時、同じ団地に夫婦で暮らす高齢女性、ナムヒが名乗りを上げ、自宅で子どもを預かりたいと言う。ミヨンは監視カメラを設置する条件で子どもの世話を頼むが、ある日、映らない場所の秘密を偶然目撃してしまう……。

[目次]
第一部
ナツメ
 

ギョンジャ
 

第二部
ヨンジュの半分
 
ケアセンター天国
 
ケアする心
 
私の隣人との距離
 

第三部
入所
 
特別災難地域
 
台風注意報
 

作家のことば
 
推薦のことば
 
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

もりくに

66
「ケア」という言葉は、今、世に溢れている。「ケア」する人(たち)と、「ケア」される人、そしてその周辺にいる人(たち)。「ケア」が家庭、職場、学校、居住地などでの三者の関係が、時間の経過の中で変化(崩壊)する様が描かれる。この短編の多くは、著者が幼子を抱えて、そして「コロナ!」下で執筆された。著者は、「その瞬間私が語りたっかた物語を書いてきた」と。また、この本の最も奥底にあるものはと問われて、著者は「(ケアする心)が、『一方にばかり』強いられてはいけないという点を、『特に』強調しておきたい」と述べている。→2026/04/02

ヘラジカ

48
韓国文学は何故こんなに肌に馴染むのだろう。色んな国の文学を読んできたが、ここまで身近に感じられる国の小説は他にない。隣国だから、文化が似ているから、同じアジア人だから、それだけでは説明できないような共鳴がある。そんな風に思うのは自分だけだろうか?誰もが誰かをケアし、自らも誰かにケアされているこの時代を、過度に娯楽化することもなく、過度に小難しい純文学にすることもなく、柔らかな光でありのままに照らし出している。素晴らしかった。お気に入りは「安」「ヨンジュの半分」「私の隣人との距離」2026/02/20

ケイティ

37
とてもよかった。明確な生きづらさ一辺倒の韓国文学と少し異なり、一方的に強いられていることが見えにくく、鈍い重みを抱えている人々の物語を10篇収録した短編集。ケアは役割でなく思わず気にかけてしまう心の動き。ケアに対して問題意識があっても、当事者自身が解決する支援策から抜け出さなかったり、構造の問題だと大きな視点で語られて、個人のつらさが拾い上げられないことが多い。困っている人の困り事は当事者のものにさせず、困っていない人がまなざしを向け、気にかけ手を差し伸べるもの。小山内さんの訳もあとがきも素晴らしかった。2026/03/07

二人娘の父

11
私にとっての韓国小説の「最初の衝撃」が「1982年生まれ、キム・ジヨン」ならば、本書は「第2の衝撃」とも言える作品。視点は常に日常生活と人間の生死に据えられ、揺るがない。抉り出されるのは、ケアし、ケアされる人々であり、あまりにも一方の個人に偏ったそのあり方だ。 私はその物語に圧倒され、自らの存在を省みる。そこには言いようのない後悔を覚える。「私がなぜここに在るのか」という問いを突き付けられるのは、文学のそして、本作の力である。津軽弁を通じて訳された慶尚道の言葉がリアリティを増幅する。2026/02/28

naff1968

7
女性の日常はホラーでもあり、苦役でもあり・・・。結婚、育児の経験はないので、父親を介護していた日々を思い返しながらの読書となりました。日々削られて、そして後悔しか残らなかった時間、今でも胸の奥がズンとなります。若い世代の意識が変化して、それに対応して社会の方も変化していけばいいな、と切に願います。2026/03/29

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