岩波新書<br> 宗教のアメリカ

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岩波新書
宗教のアメリカ

  • 著者名:藤本龍児【著】
  • 価格 ¥1,276(本体¥1,160)
  • 岩波書店(2026/04発売)
  • 澄みわたる秋空!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~11/8)
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  • ISBN:9784004321071

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内容説明

現代文明のモデルとして世界に君臨したアメリカで,福音派など宗教勢力が注目を集めている.しかし,リベラルへの反発や人種問題といった分断の背景にある宗教的原動力を,私たちは正しく理解できているだろうか.建国以来の歴史やその基層にあるユダヤ-キリスト教的世界観から,私たちの知らないアメリカが見えてくる.

目次

序章 「アメリカ」観の死角
一 見過ごされる「宗教」
二 ドストエフスキーが渇望した〈水晶宮〉?
三 近代と日本における盲点

第1章 「世俗化」の実態
一 最初の躓き
二 「見えない宗教」への注目
三 「世俗派vs.信仰派」?

第2章 起源神話とピューリタニズム――アメリカの基層
一 ピルグリムと多元社会
二 「丘の上の町」――アメリカの使命感
三 ニューイングランド社会の理念と弛緩

第3章 大覚醒と啓蒙思想――公共空間の形成
一 近代科学と信仰復興――自然哲学の転換
二 巡回伝道師と市民社会
三 啓蒙的理性の届く場所

第4章 独立革命と建国の理念――宗教的原動力
一 自然法とヘブライ的分離主義
二 共和主義と千年王国思想
三 建国の理念――「多からなる一」「神はわれらの企てを支持した」

第5章 第二次信仰復興と技術文明――自然観の変容
一 〈理性信仰〉とフロンティアにおける回心
二 アメリカン・ルネサンスと技術文明
三 悪の由来と「エクセルショー!」――栄光と暗闇

第6章 分断される共和国――内戦から文化戦争へ
一 「アメリカ全体の罪」――奴隷解放運動,南北戦争,公民権運動
二 「宗教リベラル/宗教保守」の形成――「福音派」の展開
三 リベラルによる「政教分離」の見直し

第7章 「キリスト教文明」の伝道――自己像の転換
一 デモクラシーと「明白な天命」
二 全体主義との戦い――「世界の終わり」と「テクノロジー文明」
三 「歴史の終わり」と「文明の(内なる)衝突」

終章 二一世紀の展望と世俗主義の終わり
一 企業家精神とハイパーモダニティ
二 「ポスト世俗化」論――リベラリズムと公共宗教の再編
三 「ユダヤ-キリスト教」的世界観と複数の近代

 あとがき
 参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

139
世界の主要国は革命や戦争で宗教と政治が対決し、宗政分離が進んだ。日本も戦国末期から江戸初期に仏教とキリスト教が大弾圧され、第二次大戦敗戦で神道も崩れた。唯一の例外が神の名の下に建国を宣言したアメリカであり、以来2世紀半を経た今日も大統領候補の信仰が投票行動を左右し、宗教右派がトランプ支持基盤とされるなど宗教の政治的影響力が強い。無宗教が大半の日本人にはわかりにくい感覚を、宗教思想の変遷や歴史的経緯を踏まえて詳しく解説していく。アメリカが世界最強国家である限り、その信仰を理解するのは他国の生存に関わるのだ。2026/06/02

trazom

121
最近「福音派」という一言で安直に米国を語る言説が多いが、流石、岩波新書は深い。独立戦争までで紙幅の半分を費やしているのは、建国の思想をそれほど深く丁寧に考察している証拠である。自然権や社会契約論とメイフラワー契約との関係、三度にわたる信仰復興運動、建国の父祖たちの理神論、共和主義と民主主義の対立など、宗教とアメリカ社会との関係がとてもよくわかる。また、ロックをキリスト教思想家として解釈し、トクヴィルやリチャード・ローティの中に「宗教的なもの」を見るなど、著者ならではの視点も新鮮。とてもいい本だと思う。2026/06/24

skunk_c

87
イギリスによる北アメリカの植民地化から、その宗教、特にプロテスタントの果たした役割を丹念に説き起こしている。カトリック国フランスとイギリスが戦ったフレンチ=インディアン戦争時は植民地住民は反カトリックとしてイギリスに加担したことなど、当然とはいえ初めて得た知見であった。独立後も弛緩とリバイバルをくり返しながら、アメリカの歴史の通奏低音として信仰があったことが理解できた。米紙幣に描かれたピラミッドの上の単眼は合衆国の国璽だったことも初めて知った。現代に向けては思想史的記述もあり、得ることの多い1冊だった。2026/05/20

ネギっ子gen

74
【アメリカを構成する50の州、そのすべての州の州憲法には例外なく「神」が謳われる】現代文明のモデルとされてきたアメリカで、福音派などが話題になっている。建国以来の歴史やその基層にあるユダヤ-キリスト教的世界観から、アメリカについて考えた書。序章でドストエフスキーの『地下室の手記』の“水晶宮”に言及。“本書のテーマに通じるところがある”に深く頷くが、著者によれば『地下室の手記』は、検閲により削除された頁があるとのこと。若い頃にジッドと秋山駿から教えられて興味深く読んだが、新訳を再読せねば。巻末に参考文献。⇒2026/06/25

kawa

38
1620年メイフラワー号に乗って上陸した102名のピューリタン(清教徒/プロテスタントの一派)に始まる宗教から見たアメリカ史。そもそも彼らは、イングランド国教会の腰の据わらない改革ぶりに不満を持つ分離派だったと言う。そんな経緯から建国以来、宗教は公共圏の中心にあり、政治秩序の正当性や社会運動の原動力を担ってきた。そう言う意味で、現在のアメリカを「世俗的・合理的な近代国家」と語られがちなのだがそれは大きな誤解だと論ずる。宗教思想史と言う難解な部分に苦戦しながら、それなりの刺激的読書のひと時を持てた。2026/09/18

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