内容説明
網野善彦・山本七平・司馬遼太郎・松本清張・梅原猛・吉本隆明・坂本多加雄……戦後の知識人は自らの理想とする「国のかたち」を歴史に託し、従来の皇国史観やマルクス史観とは異なるユニークな「史論」を展開した。多様な史観が競合する思想空間は、いかに育まれ、なぜ衰退したのか。気鋭の思想史家が描く「歴史観の戦後史」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てつ
24
歴史は好きだが「史観」をあまり意識してこなかった私には眼から鱗が落ちまくり。論争をあおることを目的としない姿勢には頭が下がる。松本清張や司馬遼太郎なども取り上げられているが、基本的には深い歴史観論考である。小説でしか歴史を知らない方に触れて欲しいと思うのと同時に、自分の「史観」を誤解しているかもしれない歴史好きにも読んで欲しいと思います。個人的に、引用時に頁数などを本文中に組込み、後注にしなかったので若干の読みにくさはあったが、これは好みでしょう。2026/07/11
おはぎ
15
「歴史観の歴史」の本。個人的には二言目には「史料では〜史実では〜」と「答え合わせ」をするのが歴史を語る方法の正当であるかのような風潮に反発を覚ることもあるのでどの「物語」(必ずしも「史実」に限らない)を取捨選択したかも重要というのは納得できる。今「通史」や「史観」をが衰退していることに対する危機感が執筆の背景にあると思われるが自分も同意。そのいわばなんとなくみんなが避けていて生まれた無人地帯にちゃっかり入ったのが参政党と思われる。本来はもっと議論を充実させて生半可なものが入る隙をなくすべきだった。2026/07/13
月をみるもの
13
AI に聞いてみると、歴史=HISTORY ~ HIS STORY だというのは「「歴史は勝者や男性(His)の視点で書かれたものだ」という批判や皮肉として、言葉遊び(ジョーク)やジェンダー論の文脈で語られるものであって、実際の語源に HIS という言葉は関係してないらしい。しかし、HISOTRY という言葉がSTORY とつながっているのは、ほんとのことだそうだ ⇨ 続く2026/08/16
無重力蜜柑
9
まあまあ。戦後(戦前も含む)の言論空間を打ち出されてきた総体的な「史観」をもとに分析する、一種のメタ史学とでもいうべき試みだ。それだけで類書は少なく貴重な作品だが、本書は狭義の歴史家にとどまらず作家(百田尚樹や松本清張)や思想家(上野千鶴子や吉本隆明)も多く取り上げており、さらに全体的に右寄りの書き手が目立つ。何重にも「主流」から外れた部分にスポットライトを当てた一種の逆張り的な本と言ってよい。まあ本書は歴史学ではなく政治思想史なのだが、Twitterでの筆者の立ち居振る舞いが想起されるところではある。2026/09/01
葉月
4
百田尚樹から平泉澄まで(というとひどく右翼的に聞こえるが実際は左右を問わず)、様々唱えられてきた「史観」について論じている。とにかく「面白い」本だった。「史観」それ自体の紹介が面白いのはもちろんのこと、梅原猛や家永三郎など名前は知っているが思想家としての内実をよく知らない人物についても簡潔にまとめられていて、勉強になる。 2026/07/26




