内容説明
絶え間なく生成変化し続ける、ジャンル横断的な作家、J・G・バラードの本邦初の評伝
ジャンルの故国喪失者としての側面をポジティヴな創作上のエネルギーに転換し続けてきた作家としてのバラードに着目し、単一のカテゴリーに回収しきれない彼の多様な作品群を歴史的背景や彼自身の伝記的事実と照らし合わせながら、時系列順に読み解いていく。
シリーズ〈英語〉文学の現在へ
第二次世界大戦前後から現代まで、激動の時代に翻弄される世界各地で〈英語〉という表現媒体を共有しつつ、なおそれを問い直してきた作家たちが、文学の「現在」をどのように切り開いてきたのか――「イギリス」や「英語圏」といった従来の領域的思考を超える〈英語〉文学をあらたに考えるためのシリーズです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
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文学とは作家が生きた時代や社会について、表現する欲求を形にする営為だと著者はみる。その視点から若き日に20世紀の不条理に翻弄されたバラードは、歴史のカオスを映す鏡として小説を書いたと捉える。SFという形式を選んだのも、不条理が増殖した世界を描くのに好適だったからではないかと。だからこそ破滅三部作では自然崩壊後の絶望を、テクノロジー三部作はハイテク社会の裏面を、晩年四部作では正義と悪の逆転などの極限状況を描いたと。過去の文学から何も学ばなかったというバラードの言葉は、己のオリジナリティーへの自信だったのか。2026/05/10




