文春e-book<br> 豆は煮えたか

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文春e-book
豆は煮えたか

  • 著者名:朝井まかて【著】
  • 価格 ¥1,900(本体¥1,728)
  • 文藝春秋(2026/04発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163920894

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内容説明

手を重ねて観える未来が心を癒す時代小説

深川佐賀町の水茶屋「ささげや」の女将・お玉。彼女は、人の掌に触れると、その人の「人生の束の間が観える」という不思議な力を持っています。悩みを抱えた人々が「豆は煮えたか」という符牒を合図に彼女を訪れ、その不思議な力に導かれていきます。お玉自身も、悲しい事故で夫を失っています。お玉をはじめ、人知れず特別な力を持つ者たちが織りなす連作短編集です。

ささげやの女将お玉は、名物の豆餅を売る水茶屋を営んでいます。しかし、彼女にはもう一つの顔がありました。訪れる客の掌に触れることで、その人の未来を垣間見る力。それは本人が望んだものではなく、彼女自身も「あまり気の進む生業ではない」と感じています。

しかし、夫と営んでいたささげやの名物、豆餅をお玉はどうしても上手くつくることができません。女の腕で餅をついても目指すものはできず、小豆を煮ても火加減、塩加減、砂糖の加減までまるで見当違いで、恋しい味にならないのです。客の評判も下がるいっぽうで、どのみち来ない客を待つならと、気が進まないながらも求められると占いをしています。

あるとき、親の決めた縁談と想い人との間で悩む娘、おこうが店を訪れます(「豆は煮えたか」)。お玉の力は、ただ未来を告げるだけでなく、相談者が自らの足で幸せな道を選ぶための、ささやかな道標となっていきます。

本作の魅力は、お玉だけにとどまりません。物語が進むにつれて、それぞれ異なる不思議な力を持つ人物たちが登場し、彼らの運命が交錯していきます。不思議な力を通して描かれるのは、懸命に生きる人々の姿であり、彼らを支える温かな人の縁。登場人物たちが紡ぐ優しさに触れるたび、心がじんわりと温かくなる。読み終えた後、ささげやの豆餅が食べたくなるような、滋味深い一冊です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

137
私の好きなまかてさん。占い×時代小説とある。カバーイラストも作品世界を表してたっぷり和む「誰か、熱いお茶お願いね」ってなもんで。連作六話「豆は煮えたか」「煮えております」符丁も良い。亡き夫の作る豆餅はどうしたってあたしゃ出来ない。けれども掌に触れる事で、ちょっとだけ先の人生が見えるのだもの。そんな『水茶屋ささげや』お玉のもとに集う者たちが愛しくて・・とっぷり浸って楽しい読書だった。2026/05/11

タイ子

100
まかてさんの世界。優しくて、強くて、生きる力が文章にある。物語は深川にある水茶屋「ささげや」のおかみ・お玉を中心にそこに集まる人たちを描いたもの。それだけならよくある小説になるが、一味違うところに面白さがある。お玉の夫はある事で急死、さて店を続けるにはお玉には豆餅を作る才がない。味が落ちると客も引く。ただ、お玉には知る人ぞ知る不思議な力があった。そこで登場するのが「豆は煮えたか」。そして、あれよあれよと集まる繋がる縁と絆。特に好きなのは「雲隠れ」、ジワリと滲むものがある。いつまでも浸っていたい作品。2026/05/04

星群

86
〝豆は煮えたか〟私もこの符牒使いたいです!切実に!楽しく読ませてもらいました。今年のベストランキング上位に食い込むこと間違いなしの一冊です。興味深かったのは〝不安吸い〟江戸時代だろうが現代だろうが変わらず、人それぞれ不安や悩みはあるもんですね、やっぱり。要所要所に季節の移り変わりも感じられて、満足な一冊です。2026/06/23

はにこ

80
タイトルからどんなお話なのかと思ったら符牒でしたか。もちろん、水茶屋なんだけどね。夫を亡くして1人で切り盛りしていたところに、職人も茶屋娘も集まってくる。そしてその店の裏稼業とは。新次郎を守ろうとお客様たちが団結した姿に感動。みてもらった人々はささやかな幸せに囲まれる。ほっこりする良いお話だった。2026/06/17

pohcho

71
豆餅が名物だった水茶屋ささげやだが、亭主が亡くなって以来、味音痴の女将が作る豆餅は食べられたものではなく、評判は下がるばかり。しかし、実は女将には裏の家業があって・・・。占い&豆餅で一話完結のエンタメ時代小説かと思ったが、そうではなくて、もうちょっとフワッとした不思議な感じのお話だった。独りだったお玉さんのところに人が集まってきて、寂しくなくなったのはよかった。あたたかな気持ちで読了。2026/06/16

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