内容説明
「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。……」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う決定版新訳。注釈付。(解説・大江健三郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
533
様々な要素が盛り込まれながら、それでいて凝縮度の高い小説。プロットの上からは、全米を車で駆け巡るロード・ノヴェルであり、追跡行を描いたものである。そして、作品の中に一貫して流れているのは、ロリータへの奇妙な愛と執着だ。ドリーはロリータの一種の表象に過ぎないようにも思える。ハンバートの愛は一途なまでに直線的であり、ドリーがそれに応えることはない。ハンバートは殺人者として収監されるが、ムルソーほどではないにしても、そこにはやはり強い必然性が見られない。畢竟は、ハンバートの内面省察の物語なのだろう。難解な小説。2015/02/02
ehirano1
231
「執着のキモさ」を描いた作品という印象ではぬるく、「モンスターが美的至福に執着した結果、執着は狂気でした」と思い直しました。しかしながら、唯単に「執着≒狂気」は一般論ではないかと思います。どんな人でも自身の中にモンスターを飼っているので、モンスターと狂気が同在しないようにするためはどうしたらいいかについて考え込むことになりました。2024/09/30
遥かなる想い
206
中年男と美少女の異常な性愛を描いた物語である。 男が語るロリータとの日々 …ひどく 淫らで 刺激的だが、中年男の 盛り上がりが なぜか滑稽に読める。 歪んだ純愛の行き着く果ては とても 哀しい…男視点の描写の色が強く、ロリータの 美しさが 描き切れていないのが、少し残念。2019/03/31
のっち♬
175
「絶望的なまでに痛ましいのは、私のそばにロリータがいないことではなく、彼女の声がその和音に加わっていないことなのだ」━中年の大学教授と、彼が一目惚れしたあどけない少女の関係が獄中手記の形で綴られる。言葉遊びを多用した独特の文体で、細部に至るまで多様なニュアンスが込められた凝った言語演出が施されており、所々場面把握がしづらい。これらは、幾つもの言語を習得した著者の亡命経歴の賜物だろう。一方で、彼の情愛や執着が土臭く乾燥した空気と共に臨場感豊かに伝わってきて、容赦ないグロテスクさの中にも哀しみと煌めきがある。2017/08/31
Major
162
Note: 今夏初めて読んだ。読書会がなければ、この世に在するうちはきっと読まなかった。20世紀文学を代表する傑作の一つである。中年男の少女への性愛というモチーフは、倫理的タブーを文学の俎上に引き上げることが狙いである。ナボコフにとっては、おそらくそうしたモチーフなら何でも良かった。そういう意味では、『罪と罰』のラスコーリニコフの「人殺し」のタブーの問いを継承する作品ではないかとも思う。しかし、このナボコフという作家はドストエフスキーより遥かに機知に富んでいる。→2025/12/26
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