内容説明
国家の外に広がる空間に民主主義の萌芽を見いだし、多種多様な人びとの衝突と対話から立ち上がるもうひとつの世界史を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
逆丸カツハ
38
結構気になってた本なので、文庫化が大変ありがたかった。西洋はテクストの中の伝統という話を聞いて、デリダを思い出した。デリダの批判したパロールそのものがエクリチュールのなかで受け継がれてきたというねじれた構造をとっていることになるから。大変面白かった。2026/04/18
さとうしん
16
民主主義の起源は古代ギリシアのアテネにあるという従来の説に対して、北米でのイロコイ族との接触の影響や、あるいは啓蒙主義の時代に西欧に伝えられた中国の制度の知識など、様々なルーツを見出す。確かに古代ギリシアから近代に至るまでの「空白」期間を思えば、単線的な起源説は無理があるように思う。もちろん日本も含めて西欧に拾われなかったルーツもたくさんあったことだろう。しかしイロコイ説が言われ出した時の右派の反応が「ポリコレの最悪の実例」というのは、むしろ「ポリコレ」の不当な扱われ方の実例と見るべきではないか。2026/04/20
佐倉
12
グレーバー初期の著作。民主主義の成立をアテネに⋯つまり西洋に求める風潮、さらに言えば“西洋なるもの”が民主主義を伝統として持ち上げる風潮に疑義を挟んでいく。イスラム貿易圏、西アフリカ、大西洋の海賊たち、イロコイ連邦、そして国家の体裁が行き届かなかった米国初期のフロンティア。これらの例を引きながら民主主義は非国家的な「あいだ」に生じるものではないか、それゆえに西洋の伝統的知識人に否定的に扱われてきたのではなかったか、そしてそれは今日で言うアナーキズムだったのではないか⋯と論を展開していく。2026/04/09
YT
9
グレーバー初期の論考らしい。 民主主義の脱植民地化を目指している、短いが熱い論考。民主主義は国家による必要がない、むしろそこで述べられる民主主義とはギリシャを起源とする西洋の民主主義的なものでしかない。民主主義的理想+国家権力は、民主主義的な共和国でしかない。民主主義は国家の外でどうにかやっていこうとするときできる。ハンチントンの議論を批判し〈西洋〉というものを相対化しつつ、人類学者ならではの様々な例から、時間空間問わず共同体と共同体のぶつかる間〈あいだ〉に民主主義が生まれることがわかる。2026/05/27
Go Extreme
5
西洋起源説=神話 古代ギリシャ:都市国家の例外的事例 ↓ 民主主義の真の起源:国家の「あいだ」の空間 主権の空白地帯+異なる共同体の接触面 ↓ インディアン連邦/海賊の合議制/辺境の共同体 共通点:強制力(国家)の不在+平等の要請 国家(命令・服従)⇔民主主義(対話・合意) 本来、両者は根本的に矛盾 ↓ 近代国家:民主主義を「統治システム」へ回収・擬制 結果:制度の機能不全+意思決定の形骸化 真の民主主義:国家の外部・隙間で自発的に立ち上がるプロセス =合意形成のための「絶えざる交渉の技法」2026/06/07




