内容説明
源流インドから中国をへて日本へ――
厳正な眼差しで追う 独自の精神形成史
源流たる仏陀の教えから、時代とともに遠ざかってきた日本仏教。〈日本的霊性〉称揚に警鐘を鳴らし、原典研究の厳正な立場から、その精神形成史として追う。
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共通の聖典をもつこともなく、数多くの宗派に分離した日本の仏教。キリスト教など、ほかの多くの宗教では、開祖の教えに立ち戻る宗教改革が起こったのに対して、日本仏教は実際問題として仏陀をそのように重要視してはこなかった。著者は「大陸からの伝来以来、順々と磨かれ、鎌倉期の仏教成立をもって〈日本的霊性〉を発揮する真正な宗教となったという自画自賛は間違いである」と述べる。原典研究者としての厳しい視点から、日本仏教独自の道筋に迫る不朽の名著、待望の文庫化。
目次
まえがき/一 日本仏教の特異性/アジアの仏教──東アジアの仏教──仏教の伝播──中国の仏教──社会的背景──中国の仏教文化──日本への伝来──日本仏教の出発点──宗派の起源──日本の宗派──江戸幕府の宗教統制──明治以後/二 仏教の原初形態とその変貌/日本仏教の前近代性──アショーカ王の仏教──社会福祉事業──生命の尊重──仏教倫理──宗教儀礼と仏教──過去仏と未来仏──仏教の変貌/三 感性的世界/欲界の支配者マーラ──感性的世界──宗教の原初形態──疑似宗教──利己主義の信仰──日本仏教史観──降魔の歴史的意義──現実批判の論理──倫理性の要請/四 輪廻と解脱/解脱──束縛──インド的制約──死後の運命──ジナ教とアージーヴァカ教──輪廻──霊魂の存在──善悪の因果──輪廻からの脱出──懐疑論──縁起論──因と縁──縁起論の変形──因縁の日本的理解──往生の日本化──生死の無始性──不落因果と不昧因果/五 浄土の信仰/過去仏の系譜──弥勒信仰──阿 仏信仰──天寿国信仰──観世音と阿弥陀──浄土三部経──アミダ教の信仰──末法思想──二河白道──唱名念仏/六 親鸞における問題点/親鸞の著書──菩提心──二種の菩提心──弥勒におなじ──如来とひとし──仏性──仏身論──是心作仏──悪人正機とは──臨終と来迎──他力の意味──アミダ教のゆくえ/七 戒律/戒律の必要──戒と律──五戒と十戒──入団の儀式──律の本──戒壇とは──鑑真の来日──天下の三戒壇──律宗──律と禅/八 ヨーガと禅/ヨーガの起源──ヨーガ派──仏教のヨーガ──中国の禅──看話禅と黙照禅──褝のさまざま/九 道元の坐禅/道元の立場──坐禅の特色──一如──道元と経典──只管打坐──無常の意義──修行の理想──後進のために/十 わが心──わが仏/心と仏──華厳経──華厳三昧──むすび/後記 宮坂宥勝




