内容説明
大人と同じ診察・治療では
子どもの命と健康は守れない
医療機関の標榜科の仕組みから
専門医の見分け方まで――
子どもに適切な治療を受けさせるための
知識と心得を徹底解説!
成長と発達の途中にある子どもは、同じ病気でも大人と同じ基準で診てはならない存在です。しかし実際の医療現場では、必ずしもその前提が徹底されているとはいえません。医師免許があれば診療科を自由に掲げられる制度のもと、「小児科」と標榜していても専門医でない医師が子どもを診ているケースもあります。さらに地方では小児科医不足が深刻化し、専門的な小児医療を受けにくい地域格差も広がっています。
著者は20年以上にわたり、大学病院や県立こども病院で小児医療に携わり、小児の手術や集中治療を数多く経験してきました。多くの子どもたちを治療し、退院していく姿を見届けるなかで、次第に「退院したあとも、この子たちが健やかに暮らせる地域医療をつくりたい」という思いが強くなっていきます。そうした背景から、2022年に兵庫県明石市で小児科クリニックを開業し、現在は退院後の子どもたちも含め、地域の子どもの成長を継続的に見守り続けています。
本書は、地域の小児専門医としての立場から、親が知っておくべき小児医療の本質を分かりやすく解説します。医療機関の標榜科の仕組みや専門医の見分け方をはじめ、子どもに適切な治療を受けさせるための知識と心得を、現場の具体例を交えながら伝えます。
子どもの健康を守る第一歩は、親が正しい知識を得ることです。本書は、不安に振り回されないための教養と、安心して子育てするための確かなよりどころを与えてくれる一冊です。
目次
はじめに
第1章
子どもは「大人を小さくしたもの」ではない
専門性のない小児科は「大切な一人」の健康と命を守れるのか
「小児科」を標榜していても、子どもが専門ではない……?
小児科を標榜するクリニックよりも圧倒的に少ない専門医の数
クリニックの看板と医師の専門性には隔たりがある
子どもは「小さな大人」ではない――治療の落とし穴とは?
専門知識の欠如が不幸なインシデントを招く
学校健診が担う命のスクリーニング
見逃される子どもの心疾患
「心の病気」と診断されたC君
忘れられない出来事
第2章
小さな体に宿る大きな未来を担う
地域にこそ求められる「本物の」小児科医の職分
ありふれた症状の背後に隠れた可能性を見極める
ひどい咳が「喘息」ではない!
「単なる便秘」で片づけるのは危険!
適切な検査ができる体制を整える
触診や聴診だけではなく、エコーによる検査も重要に
腹痛のときに見落とされやすい「鼠径ヘルニア」
生殖能力を守れるゴールデンタイムはわずか6~8時間
痛みの感じ方はあいまいで、必ずしも正確ではない
腹痛の裏に隠れていた深刻な病気
ありふれた症状でも油断せず、さまざまな可能性を考える
医師が持つ「知識の引き出し」の多さが子どもを救う
乳幼児健診のチェック項目として
早い段階の発見と対応で手術が不要になるケースも
紹介は「手放すこと」ではなく「つなげること」
子どもの陰部の診察をどのように考えるべきか
「ハラスメントへの配慮」と「健康を守ること」のバランスが重要に
経過を伝えれば、保護者は安心して自宅で看病できる
夜間休日診療所は普段と同じように治療してもらえる場所ではない
保護者が土日に不安を感じないよう説明することが重要
子どもが発するさまざまなサインを拾い上げる
子どもから情報を引き出すオープンクエスチョン
その子なりの表現に耳を傾ける
診察室で保護者はサポート役になってほしい
第3章
より良い診察・治療を受けるために
親側にも「小児科」を見る目を備えてほしい
後悔しない「かかりつけ医」の選び方とは?
クリニックの看板を見るときは、〝順番〟に注意しよう!
小児の診察には大人よりも手間と時間がかかる
看板に「小児科」とあっても専門医とは限らない
小児科専門医は「子どもの総合医」
クリニックのホームページで略歴をチェックしよう!
専門医かどうかは小児科学会のホームページからも検索可能
キャリアが長い医師のなかには専門医を持たないケースも
レントゲンやエコーなどの検査機器も要チェック
〝検査機器〟と〝専門知識〟の両輪で病気を発見
かかりつけクリニックの連携先病院も確認しよう
予防接種などでクリニックの雰囲気を確認するのも良し
子ども一人ひとりの背景を知るかかりつけ医の存在
継続して診ることで正しい判断ができる
「後医は名医」という格言とは?
病気は医療機関を受診すれば自動的に治るわけではない
成長や発達の不安はかかりつけ医に相談を
増加する発達障害に関する相談
咳があれば耳鼻咽喉科ではなく小児科を受診しよう
耳鼻咽喉科で「耳下腺炎」と診断されるも、リンパ節に膿がたまっていたケース
口内炎から糖尿病が見つかったMちゃん
首の痛みを訴えて「風邪」だと診断されたN君
全身の症状を診られるのは小児科
SNSの情報に振り回されて医師の言葉が届かないことも
検査は子どもの体に負担を強いるもの
医学的には不要でも、社会的な要請で検査が実施されている
「出来高払い」と「包括払い」の違いとは?
第4章
誰もが安心して子を育てられる社会へ向けて
専門医が地域にいるという〝当たり前〟を実現したい
小児医療に残る多くの課題とは?
クリニックと病院のさらなる連携が重要に
「地域連携室」は通常の予約受診ができる患者が主な対象
クリニック同士が専門性を活かして紹介し合うことも効果的
忘れてはならない「医療的ケア児」への対応
クリニックにおける医療的ケア児の診療や処置
進まない学校における医療的ケア児の受け入れ体制
学校現場と医療現場のより密な連携が必要
看護師免許のある養護教諭でも医療的ケアを行えない
学校医の活用も効果的
「点」での関わりから「面」での関わりへ
すべての子どもと保護者に「専門医がいる安心感」を
おわりに
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